「接し方がわからない」「予想外の反応に戸惑う」大人の発達障害に悩むのは本人だけじゃない。長年、医療福祉相談員として働いてきた著者が語る、ともに向き合い、仕事をしていくうえで必要なこと。本記事では、クリニックに訪れた人の声を紹介していきます。

発達障害の傾向に気づかない

発達障害の傾向があるが、本人には自覚がない場合があります。

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○職場の同僚。妊娠がわかったと親しい人に話しているところに割り込んで、それはおめでたいことだと、自分の出産や赤ちゃんの話を喜々として喋る。その同僚は今後の生活のこともあり悩んでいたが、その彼女にすっかりうんざりしてその場を立ち去ってしまった。

○「最近太っちゃってね、冬だから仕方ないか」と隣のデスクの同僚と笑っていたら、通りがかりに「あなたはね、水太りだから、やせるわよ」と言ってくる。

〔ADHDの傾向がある人、特に女性は話好きです。誰かが話している途中にも割り込んで話をすることも多いですし、相手のことや話の筋に関係なく話し出すこともあり、女性同士の関係だと、もう本当に関わりたくないとさえ思われてしまいます〕

これら周りの人の反応は職場内の不満などで聞かれたことですが、我慢できなくなると、その人をそれとなく排除する、接触を避ける、あるいは反応を起こし精神的な不調に陥り休職や退職に至るということもあります。席が近いあるいは入職時期が近いなど、近くにいればいるほど、一緒にいる時間が長ければ長いほどストレスは高くなり、嫌悪感が増してきます。

しかし微妙な話が多く、その直接的関係はほとんど表面化しません。ほとほと嫌になっているのに、ほかの人にはわかってもらえないこともあります。