公庫の融資、県の補助金交付事務といった実務経験をもとに、日本の金融と補助金の問題点を考察していきます。当記事では補助金をめぐる諸問題について、筆者が語ります。

口利き

私が当時の国民金融公庫に勤務していたころ、融資について県議が口利きをしてくることはなかったが、国会議員の口利きは少なからずあった。議員の紹介口については是是非非でのぞむというのが公庫の方針であったので、私は問題があると判断したら忖度することなく否決し、紹介した議員からは「お前はおれの顔をつぶした」と怒鳴りつけられたこともあった。

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しかし、なかには、特に財務省ルートで口利きが来ると、どうしても融資せざるをえないこともある。その結果は、ほとんどが不良債権になってしまうのだった。

もちろん、議員の紹介口がすべて不良債権になるわけではなく、無事支払を続け完済にいたることもあるのだが、長年の経験で私のなかでは「議員の紹介イコール何かある」という図式ができあがってしまっているのだ。普通の手続きでは融資を受けられないと思っているから議員を使うに違いないと私は思い込んでいるので、議員の紹介口には身構えてしまう癖がついているのだ。

そういう思い込みがあって、私はI社の申請は何かあるのではと疑ったのだ。ところが、県の職員はそうは考えていないことに気がついた。

補助金の交付に限らず、県の仕事に対して県議が「口利き」をしてくるのは日常茶飯事なのだ。私のように「口利き」だから何かあるのではといちいち疑っていたら仕事が進まない、らしいのだ。