彼らは幸せになるためには、対話が欠かせないことを知っています。例えば、結婚式です。

日本で結婚式の招待人数は、50人から100人くらいが多いようです。しかし、ベトナムやインドネシアでは、おおよそ1000人から、多いケースでは2000人を超えることもめずらしくありません。彼らは人と人が触れ合うことによろこびを見出すのです。

ところが、欧米型の文明に生きる私たちは、人が幸福になるためには豊かになる必要があると考え、仕事で人生の大半を過ごすことになります。その結果、人との対話量が減少し、孤独に陥っていきます。

イギリス政府に孤独担当大臣がいることをご存知でしょうか。2018年10月に孤独大臣が設けられました。

イギリスは孤独が大きな社会問題になっており、また孤独が引き起こす経済的損失は計りしれないといわれています。900万人以上の人々が常に、もしくはしばしば孤独を感じており、その3分の2が生きづらさを訴えているといいます。英政府によると、英国では人口約5300万人のイングランド地方だけで毎年約4500人が自ら命を絶っており、自殺は45歳未満の男性の主な死因の一つになっています。

GDPを引き上げる、つまり、一生懸命仕事をするだけでは幸福になれないのです。私たちは幸福になる働き方を考える必要があるのです。幸福のためには、GDPという物差しだけでは足りないのです。

イギリスのキャメロン元首相はイギリス国家統計局に「幸せを測る指標」をつくるよう指示し、2011年4月より運用しています。私たちの国では、令和元年の自殺者数は2万169人にのぼっています。理由は経済・生活問題、勤務問題、男女問題、学校問題など多岐にわたりますが、共通する問題として孤独があります。

経済が発展すればするほど、逆説的に不幸せになるという面があります。これと同じように、情報社会が進めば進むほど、逆説的に孤独になります。

私たちはSNSで簡単に世界中の人々とつながることができ、「いいね」ボタンをもらっています。しかし、ほんとうのところは孤独に陥っている人が多いのです。私たちはみせかけのつながり方ではなく、ほんとうに連帯して、みんなで課題を話し合わなければならないのです。