第2章 補助金の論理

2 補助金の必要性、正当性

「公共性」という概念について

ところで、私は「公共性」という言葉をなにげなく使ってきたが、実は「公共性」が意味するものは、たぶん人によって異なるし、おそらく国によっても異なる。そして「公共性」をどこまで重視するかも、やはり人によっても国によっても異なる。

日本では「私」よりも「公」が優先されるが、英米では「私」が優先される傾向があるといえるだろう。補助金が「公共性」という概念に規定されるとすれば、「公」と「私」をどちらを重視するかによって補助金の正当性も国によって異なってくるだろう。

さらに言えば、日本では英語にはない「公私混同」という言葉があるように、「公」と「私」の区別があいまいである。というよりは、「私」という概念が日本では確立していなかった、と言ったほうがいいかもしれない。

「公」と「私」に相当する英語は「パブリック」と「プライベート」であろうが、この概念について、経営学者・三戸公は『公と私』(未来社 1976年)でこう書いている。