「君は全く子供みたいだ。男を知ってる女なら、そんな脱ぎ方はしないよ。もっと勿体ぶって、じらして脱ぐもんだ」

「ねぇ。抱いて」と私はせっついた。神矢が近づいて来て、私の正面に立った。大きかった。

そして右手を私の首に回し、左手を私の腰に回し、優しくグッと全身を抱いてくれた。服の上からだったが、彼の厚い胸板にしっかり抱かれ、私は初めて男性の温かみを知った。

がっしりとした彼の体に抱かれ、うっとりすると同時に、これから起ころうとしている事を思うと不安がよぎり、少し怖くなった。神矢は、右手で私の長い髪を優しく撫でてくれた。

「ふるえてるじゃないか!?」と神矢が言った。確かに私の体は少しふるえていた。「だめだよ」と言って、神矢は両手を下ろし、私の体を離した。

「キスして……」と私は、彼の顔を見上げてせがんだ。そして目をつむった。しばらく間があって、彼の手が私の前髪を上げ、おでこにキスされた。私は目を開いた。