第2章 社会

環境づくり

少し食欲がないと思っていました。そんなある日ふと見ると眉間に潰瘍ができています。「どうしたんだろう。困ったな」と思ううちに潰瘍はどんどん広がり、とうとう目の付け根まで到達してしまいました。

人間の話ではありません。飼育している大型の熱帯魚アストロノータス(通称オスカー)のことです。エサを食べる時にもオドオドと隠れて食べるような小さな頃から飼育し、現在は30センチ近くにまで大きくなっていますが今回のようなことは初めてです。

「はてどうしたものだろう」。取りあえず水槽の水を全部交換し、ろ過装置も掃除しました。熱帯魚の潰瘍に使用する薬の知識はありません。こうして様子を見ることにしました。

ところがうれしいことに日に日に潰瘍が縮小し完全に治癒したのです。それどころか今まではあまり興味がなさそうだったのに最近では水槽に近づくだけでエサをくれとせがむようになりました。

生活環境の変化は様々な病気を引き起こします。古くは銅山の鉱毒事件、四日市喘息、イタイイタイ病、水俣病など環境の悪化により引き起こされた病気が沢山あります。

病気の多くは環境、宿主(私達)、要因(細菌、ウイルスなど)の三角関係の力の破綻により生じます。

強力な感染源があれば発症しやすくなりますし、宿主の抵抗力が低下すればやはり病気になりやすくなる。環境の悪化の影響は前述の疾患の通りです。

このような考えから化石医師は健康を維持するためには生活環境を整える、地域の文化を発展させる、地域の経済発展が重要であると機会があるたびに強調しています。