地球温暖化は異常な天候異変、災害をもたらし、サケやサンマの生態系を変化させ漁獲量に影響を与えています。地域の文化水準の低下は健康に対する意識の低下に直結します。感染症予防に対する知識がなければ感染症は容易に蔓延します。

人々を恐怖に陥れたSARSに限らず冬季に流行するノロウイルスやインフルエンザも例外ではありません。全ての疾病に影響を与える喫煙にしても発展途上国ほど喫煙率が高いことは周知のとおりです。

経済に関して言えば家計が苦しくなれば最初に削られるのは文化に対する出費と医療費です。体調不良になっても早期に受診することが敬遠され、その結果重症化を招くことになります。貧困からきた低栄養による健康被害はこれまた発展途上国の現状を見れば明らかです。

化石医師の臨床経験でも栄養状態を改善するだけで床ずれが治ったり、MRSA感染症が良くなっています。このように考えると健康維持のためには前述の生活環境整備、地域文化の発展、地域の経済の発展は極めて重要です。

しかし最近地域ではこの大切さが失われつつあります。過疎、高齢化は地域の経済活動を低下させています。経済活動が低下すれば文化の発展も望めません。手入れする人がいないまま里山が荒れ果てサル、イノシシ、シカなどの被害も増加しています。

増加する医療費対策でジェネリック医薬品の使用推進、紹介状を待たない場合の受診料の値上げなど国は苦慮しています。でも今回あげた地域づくりの観点は疎かにされているように思います。

地域づくりは一朝一夕で出来るものではありません。地域づくりの主体は行政です。今こそ長期的展望に立って地域づくりを考えて頂きたいものです。

傷ついたオスカーは環境整備だけで治りました。薬はいらなかった。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『新・健康夜咄』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。