セカンドオピニオンを作ろう

溝口:こうやって一つひとつの問題を紐解いていくと、医者と医療の現状がわかると思います。しかし、ダメな医者であっても、一般サラリーマンよりも給料は高い。医者の平均年収は約2650万円くらいです。この収入に見合った適切な治療をしてくれる医者は2〜3割くらいいればいい方でしょうね。

一流の医者ともなれば本当に少ないです。その症状から見て取った対価に見合う正確な診断や治療をできる人は本当に少ない。たとえば皮膚科。ポピュラーな症状は別として「これは何でしょうかねぇ……」「とりあえず薬を出しておきましょう」という診断が実に多い。

眼科も同じ。しかし、眼科の年収が一番上ですからね。白内障の手術なんかは簡単なものは約20分で終えることができます。この手術に多くのスタッフは不要。ほとんど一人の医者でできます。

外科医が行う手術はそれこそ何時間、時には何十時間もかかり、多くのスタッフを抱えて行うことも少なくありません。しかし、その保険点数は何時間もかかりリスクを背負う脳外科系や消化器系の手術と眼科の白内障手術に大差はありません。外科医の中には「これで一緒にされちゃたまったもんじゃない」と思う人もいるかもしれません。

コンタクトレンズの装着に際しても医師の処方が必要で、装着者数は2000万人以上ともいわれてるそうです。それも眼科医の立派な収入源。眼科で診察を受けた患者だったらわかると思いますが「原因がわからない」「ウーン、なんでしょうかね」「じゃ、とりあえず目薬を出しておきますね」と、はっきりした原因も病名も告げず、いくつもの種類の点眼薬を処方されて終わり。

あとは、「様子を見て、二週間後か一カ月後に再度いらしてください」と言われる始末。緑内障に限っては例のごとく点眼薬を処方し、ごもっともなことを言い、さりげなく「様子を見ましょう」的なグレーな説明で患者を帰す。様子を見て悪化しないのを待つか、改善を期待するのか。

ある意味、これは賭けみたいなもの。だって、正確な原因も病名も伝えずに目薬の処方と「様子を見ましょう」という言葉しか伝えてもらってないのですからね。外科医のリスクと労力を比べれば眼科医は……。そりゃあ、外科を希望する医者が減ってきますよね。こういうこともあって、皮膚科や眼科には女性医師が多いんです。

中村:もし、ガンにかかったらどうしようと思う時がありますが、外科医が減っているということは他人事ではありませんね。

溝口:外科医の絶対数が少なくなるということは、おのずと一流外科医も減ってきます。ガンの告知を受けた患者は少しでもいい医者にかかりたいと思うはずです。

中村:ガンの患者といっても、入院せずに通院という方法を取っている方をよく目にしますが、それでいいんでしょうか?