謎3 一回り大きい雄の出現(隻眼のボス)

前期に捕獲した個体すべての解析データを分析していて、あることに気が付き驚いた。この片目の雄は前期に捕獲した雄の中で頭胴長が飛びぬけて長いことが分かったのだ。他の雄より9mmも長い。

2位以下の雄の頭胴長はどれも同じ位の長さで、ドングリの背比べと言ったふうである。わかりやすくするために、鶏舎で捕獲した雄だけをグラフにしてみた。

[図1]鶏舎前期に捕獲した雄の頭胴長と体重の関係を表している。右上にある個体ほど大きい

謎3の謎解き

ハツカネズミの社会では1頭の力の有る雄が3~5頭の雌と縄張りを作り、競争相手を縄張りから力ずくで追い出すという研究報告がある。日本で紹介されていなかったので私は全く知らなかったのだが、今から40~50年前にヨーロッパでハツカネズミの研究が盛んに行われていた頃の報告だ。

そうすると、この隻眼の大きい雄はハーレムの主ではないかと思った。これほどはっきりと捕獲結果に出て来るとは思っていなかったが、つぶれた片目は言わば向こう傷ということになる。

クマネズミとドブネズミの例では、親と子の関係は庇護し、庇護される相互扶助の関係であると思っていた。