第一章 変わりゆく妻の異変に気付く

三、自宅の場所が分からなくなる…心療内科の病院行きを決意

長時間歩き通したので、疲れたのか玄関先で座り込んでいた。

「お疲れさん。疲れたやろう。上がってお茶でも飲もうや」
と台所へ誘導した。買い物をしてきたと思うが手ぶらでビニール袋は、持っていなかった。どこかに置き忘れたと思う。追求はしなかった。

「お父さん。私、情けないわ。自分の家が分からなくなって、私、自信なくしたわ。お父さん、ごめんなさい」
とうなだれた。沈んでいる妻を見て、
「たまたま、迷っただけやんか。一晩寝たら元に戻るわ」
と言いながら妻の好きな緑茶を入れてやった。

妻は、「ありがとう」と言いながら、いつもはすぐに飲むのに湯気の立つお茶をじっと眺めていた。しばらくそっとしておいた方が良いと思いバイクの置いてあるガレージの扉を閉めに行った。そして台所に戻った。お茶を飲んでいたので落ち着いてくれてホッとした。これまでにも遅い帰宅が何回かあって、迷いながら帰宅していたのだと思う。

買い物は、私が行くことにした。