脳梗塞急性期の治療目的は、ペナンブラの神経細胞の機能を回復させることで、その転帰を決定するのは血流減少の程度と持続時間です。ペナンブラの神経細胞が治療により虚血状態から機能を回復することが可能な許容時間のことを、治療可能時間窓(therapeutic time window)といいます。

このペナンブラの領域は、造影剤を点滴して行う灌流画像というMRIと、造影剤を用いない拡散強調画像というMRIの2種類を組み合わせることで、ある程度推し量ることが可能になっています。

rt-PAのような超急性期に血栓を溶かす治療の目的は、このペナンブラを壊死させずに救済することにあります。

超急性期脳梗塞において、拡散強調画像が正常で、灌流画像が異常な領域は、早期の血流再開によって救済可能な領域とみなされます。したがって、この領域が大きい場合には超急性期血栓溶解療法のよい適応です。

なお、ペナンブラと名付けられている血管内治療のシステム器具があります。血栓を掃除機のように吸引して回収する器具です(後述)。