青空を透かした樹木の葉

陽ざしの強い日
樹木の下から見上げる
青空を透かした幾千の葉は
なぜあんなにも美しいのだろうか

樹木は
その本体ともいうべき幹や根に
光を通さない漆黒の闇を抱え込んでいるが
その梢や枝々の先に拡がる
緑色のセロファンのような幾千の葉に
眩い太陽の光を透かし浄化することで
植物にとって不可欠なものを日々作り上げている

そして
人は
何かを純粋に見つめ続ける時
視界に内面が寄り添い
外界と心が重なり合うことで
対象とひとつになることが出来る

だから
一面に陽を浴びた樹木を真摯に見つめ
それと一体化するような感覚を持つことは
存在の奥底に
どこかしら濁った影のようなものを抱えている人にとって
自分の影に光を透かし
有益な何かに転化するような
幸福な錯覚をもたらすのかもしれない

※本記事は、2020年8月刊行の書籍『静寂の梢』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。