第2章 専門医は脳梗塞をどのように診断するのか?

専門医は脳梗塞をどのように診断するのか?

◎脳画像検査

CT検査とMRI(およびMRA)検査

脳の病気を診断する上で欠かすことのできないCTとMRI/MRAですが、その違いをご存じでしょうか? どちらも似たような装置に見えますが、実は原理が根本的に違います。CTは「X線」を、MRI/MRAは「強力な磁石」を使用しているのです。

[図1]CT・MRI/MRA検査

それぞれの具体的な特徴は、以下のようなものが挙げられます。

CT(コンピュータ断層撮影(だんそうさつえい):Computed Tomography)

・放射線被曝がある。
・検査時間が短い(2分程度)。
・予約なしですぐに検査可能。
・急性期出血性病変の診断が容易。
・血管を診断するには造影剤が必要。
・骨が描出できるため骨折の診断ができる。

MRI(磁気共鳴画像(じききょうめいがぞう):Magnetic Resonanse Imaging)、MRA(磁気共鳴血管画像(じききょうめいけっかんがぞう):MR angiography):MRIを用いて血管像 を描出する方法

・放射線被曝がない。
・検査時間が長い(30分程度)。
・基本的には予約制。
・急性期脳梗塞の評価が正確にできる。
・造影剤を使用することなく、血管を描出できる。
・骨は描出できない。
・ ペースメーカーなどの体内金属がある場合や、閉所恐怖症の方など、検査ができないことがある。

以上のようにそれぞれ一長一短があり、医師は症状、検査目的に合わせて検査を選んでいます。