[図2]アテローム血栓性脳梗塞のMRI拡散強調画像とMRA

これは50代後半男性(図2)の症例です。

来院までの経過:左の手や足がしびれて、眼の症状もあった。かげろうが上がるようになり、そうして霧がかかったように見えなくなる。これが来るとしびれたようになる。眼は左から始まって、全体に霞みがかかるような感じがある。目の症状が出ると必ずしびれが出る。最終は来院5日前。以前は眼の症状はなかった。ここ最近は症状が強かったため来院。

既往歴:高血圧(177/104,96)、高コレステロール血症、高尿酸血症、閉塞性動脈硬化症。

左図:MRI拡散強調画像 右後頭葉に高信号域を呈する小さな脳梗塞(皮質枝閉塞)。
右図:MRA右内頸動脈閉塞、右中大脳動脈も写りが悪い。

単純CTにおける脳梗塞早期所見とは?

脳梗塞の発病から数時間から24時間以内は頭部単純CTでは異常所見が現れにくく、あっても分かりにくいものです。ラクナ梗塞のような小さな梗塞巣は視認できません。数時間経過するとある程度の範囲の脳梗塞の領域は低吸収域として認められるようになります。

CTにおける早期虚血性変化(early ischemic change)として、 レンズ核の不明瞭化、島皮質の不明瞭化、皮髄境界の不明瞭化、 脳溝の消失、閉塞動脈(例:中大脳動脈)の高吸収像などが見られます。

※本記事は、2020年1月刊行の書籍『脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法 』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。