流儀三 ネット集客を意識した戦略をもて

06 共用部は物件の顔。このアイディアなら費用対効果は抜群

まずは共用部の美観を保ちやすい構造に

既に賃貸住宅の内部だけでなく共用部分にも投資し、美観をたもち、入居希望者を案内しやすい物件にすることが、大家さん業をやるには大切だと述べてきた。そしてこれは私の持論なのだが、共用部の美観を保ちやすい賃貸住宅がある一方で、美観を保ちにくいものもある。

たとえば細長い敷地に各部屋を横一列に並べた配置。2階建てのアパートの典型的な例だが、これだと各部屋のドアが外廊下に向かって一直線にならぶ構造になる。外廊下には屋根をつけるにしても、風雨が強ければ屋外とほとんどかわらない。階段も同様だ。

これでは金属製の手すりなどはすぐに錆びるし、木部にぬったペンキもすぐにはげてくる。鉄筋コンクリートや鉄骨造りにしても基本的には同じだ。エントランス、外壁、屋外階段など、塗装はこまめに、また早めにやるようにしたい。

これに対して廊下や階段を中心にもってきて、それを取り囲むように各部屋を配置すると、共用部分が風雨にさらされないので錆びにくいし汚れも少ない。まずは美観を保ちやすい構造に設計しておくことが前提だ。

共用部の清掃は業者に委託

これも基本的なことだが、共用部の清掃は業者にきちんと委託して、まちがっても自分でやろうとしないこと。規模の小さなアパートだと、近所の人に1回1000円ぐらい払って朝晩掃除をしてもらって良しとしている大家さんもいるが、それもだめだ。

入居希望者を連れてきたら汚れ放題ということがないようにするには、業務としてきちんと委託し、もし汚れていたら電話一本できてくれるような体制をつくっておきたい。

ネットにいくらきれいな映像を載せていても、実際に入居希望者が見た状態と食い違いがあれば、成約率もおちる。ネット集客を意識してというと、つい、いろいろな機能の追加ばかりに目がいくが、共用部をいつもきれいに保ち、入居希望者に好印象を与えるようにするのが基本だ。

1戸に1個宅配ボックスの時代がくる?

ところで部屋の内部だけでなく、ポータルサイトのチェックボックスには共用部の設備欄もあり、共用部の設備をどう充実させていくかは、ネット集客を意識した戦略をたてる 上で重要だ。

たとえばいま共用設備で入居希望者に人気が高いのは、なんといっても宅配ボックスだ。20代から30代の単身者は、会社の働き頭にもなっていて残業も多く、平日に荷物が届いても受け取れないことが多い。

またこの年代は通信販売で買い物をすることも多いので、宅配ボックスの有無は、最終的な判断に大きく影響する。 60センチ×45 センチの大きさでひとつ5万円から6万円だから、それほど大きな出費ではない。

経験的にいうとだいたい10室に1戸の割合で設置するのがいいようだ。ただ宅配便業界から流れてくる情報では、いまや宅配ボックスは奪い合いだという。再配達を避けたいのはどの宅配便のドライバーも同じだ。

最近ではアマゾンが日用品を1個単位から組み合わせて宅配してくれるサービスをはじめた。このサービスを利用するとトイレットペーパーや洗剤などの日用品をコンビニ感覚で買えるようになる。帰りの遅い単身者にとって願ってもないサービスだ。そうなるとネックは宅配ボックス。各戸にあらかじめ宅配ボックスを備えた賃貸住宅が出てくる日も遠くないかもしれない

[図1]若い単身者が多い物件では、宅配ボックスが配達員たちの間で争奪戦になることも

まだまだある共用部で好印象を与えるアイディア

水廻りに使われるダイノックシート(前回記事参照)は、共用部でも大活躍だ。とくに汚れやすいエレベーターの壁面にはると、抗菌性があって汚れがつきにくい。張り替えや補修も簡単なので引越しなどで傷がつきやすいエレベーターには最適の素材だ。

また共用部の廊下には専用の長尺シートを敷くと、傷がつきにくく、交換すれば美観を保ちやすい。さらに、汚れていたり傷んだままだと印象が悪い室名札や郵便受(ポスト)も定期的に交換するといい。錆びた郵便受けにチラシやダイレクトメールがあふれている光景は、管理ができていない賃貸住宅の典型だ。こんなふうにならないように気をつけたいものだ。

単身者の多い賃貸住宅で問題になるのがゴミの管理だ。分別ができなかったり、ゴミの種類によって違う「ゴミ出し日」を守れないといったように、居住者に問題がある場合も多いが、 そもそもゴミ置き場がきちんと設置されていなかったり、ゴミ置き場が破損・汚損しているなど、大家さんの責任を問われる場面も少なくない。

ゴミ置き場の管理・修繕は最優先で行うべきだ。またきちんとふたの閉まるダストボックスを設置し「24時間ゴミ出し可」とするとネット上でもアピールできる。

[図2]フタのあるダストボックスや、廊下の床には専用の長尺シートもおすすめ
※本記事は、2020年5月刊行の書籍『年収400万円でも大家になれる 工務店社長が教える5つの流儀』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。