流儀三 ネット集客を意識した戦略をもて

02 単身者向けマンションの基本はこれ

専有面積25平米以上の1DKが基本

ここまで「狙い目は単身者向け」など、繰り返し単身者向けマンション、単身者向け賃貸住宅という言葉を使ってきた。読者の中には、そういわれても具体的なイメージがわかないと思った人もいるだろう。では「単身者向けマンション」とは、どんなものをいうのか。ここで簡単に説明しておく。

まず広さだが、私は専有面積が25平米以上あることが条件だと考えている。これだけの広さがあれば、6畳の居室に4.5畳のダイニングキッチンを付けてもトイレや浴室、収納を余裕で配置できる。

いわゆるワンルームマンションは、ほとんどが20平米以下だ。

私の本業は工務店のおやじなので、ワンルームマンションの設計や施工を頼まれることも多い。そんなときは、なるべく知恵をしぼってキッチンやトイレ、浴室など水回りや、収納が犠牲にならないように工夫するが、なかなか難しい。

20平米程度の大きさの中にすべてを詰め込もうとすると、やはりどこかに無理がくるのだ。

トイレと浴室は別でないとダメ。追い炊き機能も必須

たとえばワンルームではトイレと浴室を別にすることが難しくなってくる。そこでどうするかというと、トイレと浴室、洗面所が一体になったユニットバスと呼ばれるものを採用することになる。これはキッチン以外の水回りがひとつになるので施工もラクだし、コストも低い。

しかし、はじめて一人暮らしをする学生とちがって、すでに何度か賃貸住宅に住んだ経験のあるサラリーマンの単身者層は、トイレと浴室、洗面所が一体になったユニットバスの使い勝手の悪さをよく知っている。

したがってこうした層をターゲットにするには、少なくともトイレと浴室は完全に別にするのが鉄則だ。

さらにいえば浴槽には追い炊き機能があることも条件だ。浴槽に風呂釜がなく、給湯器からお湯が引いてあるだけのタイプは、結局シャワールームとしてしか使えないと敬遠される場合が少なくないのだ。

女性がターゲットならセキュリティ機能を完備

賃貸住宅の経営戦略として「女性専用」をうたうことには、いろいろな意見がある。

最初からターゲットを絞り込んでしまうと、結局は自分で自分の首をしめることになるという意見も頷けるし、いやいや東京の渋谷区のように女性、しかも独身女性の数が圧倒的に多いようなエリアでは、メリットが大きいという意見も間違ってはいないようだ。

それはさておき、専用とはいかないまでも、女性を意識した賃貸住宅にするなら、やはりそれなりの戦略が不可欠だ。

たとえばセキュリティ機能を完備した賃貸住宅をつくれば、自然に女性の単身者層にアピールできる。セキュリティの確保からいえば、管理人の常駐がのぞましいが、小規模な賃貸住宅で実現することはなかなか難しい。

そこで頼りになるのがITを駆使したセキュリティ戦略だ。

セキュリティ会社にマンション全体で加入し、防犯カメラを設置すれば、セキュリティはかなりアップする。もちろんオートロックやTVモニタ付きインターホンといったベーシックな機能はお約束である。

[写真1]女性の単身者層にアピールできるセキュリティ機能

必須条件をはずすと成約率が極端におちると知れ

ここまで紹介してきた単身者向けマンションの条件は、まさに基本中の基本だ。あなたがつくろうとする賃貸住宅のライバルも、当然、これらの必須ポイントを熟知している。

したがって、もしあなたの都合で、こうした必須ポイントをはずした賃貸住宅をつくったらどうなるか。結果はもうおわかりだろう。

検索条件に合致しないあなたの物件は、最初の関門ともいえる大手ポータルサイトの段階で振り落とされる。いつまでたっても、借り手はあなたの物件にたどりつくことができないのだ。

これが現代の賃貸市場の現実だから、文句をいってもしかたがない。大家さんにできることは、入居者が気持ちよく暮らせることを第一に考えながら、その一方でひたすら大手不動産情報ポータルサイトの検索項目にひっかかりやすい物件を演出することだ。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『年収400万円でも大家になれる 工務店社長が教える5つの流儀』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。