《報告書》

一、       領主は小さな豪族集団の集合体であった。

二、       領主は戦いをする時、それらの豪族に動員数を命令する。

三、       彼らは所領にみあう兵士を集めて軍役に参加する。

四、       それらの兵士は普段、農家として暮らしていた。

五、       武器は自前、兵糧はわずかで遠征の場合、現地調達する。

六、       強奪に近い行動も見受けられた。

七、       その報復として敗戦兵は残党狩で身ぐるみを没収された。

   《状況分析》

一、       長期の戦いを継続できない。

二、       田植え、稲刈り時は戦線離脱が顕著に見られた。

三、       演習は行われていない。

四、       従って緻密な戦法はとれない。

五、       大きな兵力および長い戦線になる場合、統制がとれない。

「この報告書を読むとまさに館長の言うとおりね」

悠子は満足そうに優の報告書を読んで言った。

「はい、当時の戦は鎌倉時代から二百年変わっていないようです。信長がその慣習を打ち破ったと思います」

悠子はうなずいて話を続けた。

「信長は吉法師と言われたころ毎日近所の餓鬼どもを集めて戦ごっこをしていたようね。ときには数十人集め二手に分けて戦わしていた。訓練もしていたらしい。そして勝ったほうにお菓子をあげるの。一種の戦体験ですね。そうした体験を得て戦を学んでいった。少ない人数でも訓練したほうが勝てるという模擬戦までやったらしい。この時の経験を活かして戦いに勝てる戦法を生み出していったと考えられる」

【前回の記事を読む】安土桃山時代の津島や堺の大店は今日でいう商社。商社の真骨頂はいかに先を読んで行動するかである