エッセイ 人生論 短歌 生き方 2020.07.23 生きるのはもう嫌ですと思う日もあり 短歌集 生きる 【第11回】 田中 祐子 心かが折れてしまいそうなとき、 寄り添い支えあう、心の歌。 原爆の悲劇、夫との死別、複数の病との闘い……。時代に翻弄されながらも困難と向き合った歌人が、自らの経験を生きる糧に代え、詠みあげる709首。平和で豊かな未来を願い、いまを生きる人に伝えたいメッセージを、連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 第一章 赤きコート 写真を拡大 宵待草 写真を拡大
小説 『恋愛配達』 【第15回】 氷満 圭一郎 配達票にサインすると、彼女は思案するように僕の顔を見つめ「じゃあ寄ってく?」と… 「本業は酒屋で、宅配便はバイトです。ところでさ」ぼくはたまらず差し挟まずにはいられない。「さっきからなんなの、どっち、どっちって?」「だってあなた、ドッチ君だもん」「何、ドッチ君て?」すると瞳子さんは、ぼくの胸に付いている名札を指差した。これは配達者が何者であるのか知らせるために、運送会社から貸与されているものだ。ぼくの名前は以前病室で宴会を開いた時に教えていたはずだが、漢字までは教えていない。…
小説 『サイレントエース』 【第5回】 湯澤 明彦 モデルのような美しい花笑さんから声をかけられたのに、顔が真っ赤になって何も言えず… 1年生ながら、すでに英児のボールは群を抜いていた。僕はといえば剣道部からお古を借り受けた防具を装着しなければ、とても英児の全力投球には耐えられなかった。あいつは顧問の先生の目を盗んで、少年野球ではあまり推奨されない変化球を遠慮なく投じてきた。スプリット、スライダー、サークルチェンジ、そしてすでに時速130キロは超えていたかもしれない剛速球。何度受け損ねて痛い目を見たことか。生保レディーとして家計…