俳句・短歌 短歌 2021.08.09 短歌集「命の雫」より三首 短歌集 命の雫 【第2回】 田中 祐子 癌と甲状腺機能低下症を患いながら、戦争の悲惨さ、 命の重さ、生きることの煌めきを詠み続ける92才の歌人。 待望の短歌集第3弾。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 夕焼けを背負いて歩み来る君よ私わたしもその真っただ中にいる 再結成したワイルドワンズ唄うなり「想い出の渚」なつかしきかな 出雲いずもでは神在月と言えるなり十月の空の抜けて真まっ青さお
エッセイ 『59才 失くした物と得た物』 【新連載】 有村 月 結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる ダンナが死んだ―まさかの現実。自覚はなかったが、この時から私の「おひとりさま」は始まろうとしていたようだ。たしかにダンナは肝臓の数値が悪いと1ヵ月半入院したものの退院、体力も少しずつ戻りはじめ還暦祝の1泊旅行もし、そのたった1週間後にはこの世からいなくなるなんて、頭の中のすみっこにさえなかった事。よくいう野球の九回裏2アウトからの逆転満塁ホームラン的な。その1年半前、最愛の母が「くも膜下出血」で…
小説 『しまなみ海道に消えたミス』 【第5回】 風向 良雄 恋人はいるのに、突如現われた男性へのときめきが止まらない。何かありそうな予感が… テーブルの上には愛媛県の広域観光用のパンフレットがたくさん並んでいる。広域観光企画協議会が結成され観光客誘致のために作成されたもので県内各自治体の自慢を掲載している。その男性は愛媛県の各地のパンフレットを手に取り見ていた。この男性も愛媛に行ってみたいという気持ちになるだろうか。間近に見るその男……おおきい、確かにおおきい。わたしも女としてはおおきいほうであるが、この男はむちゃくちゃおおきくて圧倒…