当日朝、妻の買い物用自転車の荷台に私の荷物を積んで、スタートは私が走りました。とは言え、そのまま旅行に行くジーンズにスニーカー、先ずは準備運動代わりに軽く走って妻と交代、私は荷物を積んだ妻の自転車に乗りました。サドルの位置やペダルの感覚が違う「他人の愛車」に乗るのは、どことなく新鮮な感じがするものです。

次のランナーは中2の息子。そして、少し前傾気味の息子のマウンテンバイクに妻がまたがります。どちらの姿も新鮮!

最後に小3の娘が登場。そして、すでに妻の背丈を追い越した息子が娘の自転車に、膝を曲げて三輪車のように楽しそうに乗りました。

1巡して私に引き継がれた時に、再びそれぞれが自分の愛車に乗り換えました。2巡目の走りで、私はある種の快感を味わったのです。日曜日の早朝、それはまるで私が走るために交通規制をしてあるかのごとき交通量の公道に、3台の伴走車を従えて1人走っているのです。正に駅伝の先頭チームのような特別待遇ではないでしょうか!

あまりの気持ち良さに電柱もう一本・もう一本と交代を先延ばしにしていると、痺れを切らせたように娘が突然、「今度は私が走る!」と言い出したのです。私は彼女に譲り、彼女の自転車にまたがり横に着いて実況中継を始めました。

「ただ今5区から6区への中継が無事終わりました。さて、この区間はいよいよエースのチッチちゃんの登場です!」と……

彼女は俄然やる気を出して、そのまま、「もうちょっと行く」「もうちょっと行く」と交代を拒み、家族3人がにこやかに見守る中、行程の半分近くを1人で走り通してしまったのです。

我が家の子どもたちにとって、テレビや沿道で繰り返し見て来た大学駅伝が大人のモデル。これを真似して公道を走るという設定に、小3の娘が予想もしていなかった精一杯の走りを見せたのでした。