【前回の記事を読む】老夫婦に木片を渡される…奇妙な夢が示唆した「お告げ」とは

つながる

此の頃不思議な体験をした。部屋でボンヤリしていて、眠っているのかまだ眠っていないのかのようなとき、見えていた景色の中に違う景色が入り込み、視界全体に広がった。

夕日が差し込む部屋で年老いた夫婦が話をしている。見た瞬間に夫は私で妻は、大きくなったら嫁さんになっちゃるけんな、と言った子である、老妻に向かって、あいつにはちっともええ思いをさせてやらなんだな、と悔やんでいるのである。見た景色、情景はごく短いのであるが瞬間的に全て納得した。前世の話である。

若い頃、苦労をさせた妻がいた。子供ができないことを理由に去らせたのである。次に娶ったのが、大きくなったら、の子である。前世の妻二人が今世は私のすぐ近くに同じ年に生まれていた。後妻となったほうは、今世私の親元に嫁にもらえと何回も来たそうである。私は、手も握ったこともないから放っておいたらいいと、とり合わなかった。

子ができないと去らせた妻、私の従兄の子と生まれ、野心家である従兄は、入り婿となり家を守れと思いながらも私の父に義理があり、言いだせず内に秘めていたのである。

或るとき、母が私に手をついて謝ったことがある。知人が田んぼを買うてほしいとやってきたとき母が反対したという。山の中腹にある実家は平地に二か所田を所有していた。家の周りに田や畑、山林も少なからずある。このうえ田を購入してもしんどいだけで、それよりも甥に買わせたらどうだろうと提案し、全額貸し与えて購入させ、まだ返金されてはいない。

山岳地に住む人は誰しも平地に田畑をほしがったのである。やがて農地であった所が町の方針で宅地に変わり広い道路も作られ、値段も驚くほど高騰した。父が私の将来のためと言うのを母が甥に買わせたと詫びるのである。私は、田や畑がほしいなど思っていない、産んでくれて、これまで育ててくれただけでこれ以上何も望むものはないと言い、事実そう思っていた。

短いが前世のひとこまを見て全てが繋がったのである。

私が受け取るはずだった、田、お金といってもいい、前世に苦労をさせ理不尽な行いをした当然の報いとして前妻の手に渡っただけのことである。

前世、子ができないと去らせた妻は今世においても、子ができずに離縁されたと風の便りで聞いた。一方、後妻となったほうは子沢山となっている。どうしてそうなるのかはわからない。