推計結果

以上のデータにもとづいて、ここでは構造方程式モデルを使った推計結果について確認する※注1)。なお、上で確認した6つの因子を標準化された因子得点にした関係で、すべての変数は標準化処理している。本章の推計で使用するデータの記述統計量は図表1にまとめられている。この表において除退、成績、欠席、名詞、動詞および形容詞の記述統計は標準化前のものである。

[図表1]記述統計量

そして、推計結果をパス図の形で示したものが図表2である。ここでεi(i=1,…,8)は誤差、各矢印のそばにある数値は推計されたパス係数をそれぞれ表している。この図の右端の列には学生が除退した時期を表している。たとえば、「2春末除退」とは2回生春学期末、つまり導入講義が開講された学期末に除退したことを表している。

[図表2]除退動向に関するパス図

ここからただちに分かることは、今回使用したデータからは4回生以降における除退との関連性が見いだせなかったことである。改めて図表2を見ると、除退に直接影響する変数は成績ではなく欠席回数で、プラス有意(2回生秋学期末ではp<.1、3回生春学期末および秋学期末ではp<.01)であった。成績は各学期末に明らかになるが、除退する学生は成績が明らかになる前の段階から動き始めており、それが欠席回数という形で現れるというのは想像に難しくない。