第一章 社会は変わる、変わるから新しい時代となる

中国人の時、時代の捉え方

時は自然のサイクルに合わせて繰り返すとする日本人、時は宗教の視点から有限なものと見なす欧米人。これら二つの考えに組みしない、隣国中国人の時の考えを参考までに触れてみたいと思います。

中国人は時を大河の流れのように見なし、時を悠久の自然の流れの中で認識しているとされています。

中国は大陸にあって、昔から周辺に多数の異民族がひしめいている環境にありました。

このような環境下、中国の統治者(皇帝)は中国に相応しい教義(ドグマ)を必要とし、それが儒教と言われています。

中国では、天命を受けた皇帝が儒教を基に天下を治める統治形態を長年担っていました。自国の長い歴史、そして周辺には多くの国々が存在する状況から、中国の時間に対する考えは、欧米のようにこの世を神がすべてを創り、時間を有限なものとする説は荒唐無稽の戯れ事に映るようです。

中国は一日の始まりと終わりを、日本のように朝陽、夕陽と太陽で推認するのでなく、時間は悠久の大河の流れのようにゆったりと流れるものとみなしています。

この時間に対する中国独特の考えは現在にも受け継がれており、最近のアメリカとの経済摩擦にも中国はじっくりと時間を掛けトランプ大統領の変化を待つ交渉術を採り続けています。

自然環境に基づく歴史観から時を大河のように流れるとする考えは、戦略的な思考になりますが、一方で「中華思想」という独り善がりの世界観が生まれる要因にもなります。

その中華思想を簡単に説明しますと、中国は昔から自らを世界の中央に位置する文化国家と位置づけ、周辺国を華夷(野蛮国)と見なしています。

例えば中国の東に存在する朝鮮や日本を東夷と位置づけ、夷の国は中国に対し「礼」をもって仕えるべきだという思想です。

昔ならば戦略思考と中華思想の併立は通用し、大国・中国を象徴する基にもなったでしょうが、現代はグローバルな時代です。グローバルな世界とは世界が一つに集約されることを意味し、時間をゆったりと捉える考えでは世界とズレが生じるものです。

中国は世界一の人口大国であり、GDPは世界二位で二〇四五年にはアメリカと肩を並べる大国になると自負しています。

しかし中華思想をかざす政策では外国とのズレが生じ、国内でも中央と地方の意思疎遠となって対応の遅れに繋がり、偉大な中国が厄介な中国になり兼ねない原因になる恐れがあります。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『特性を活かして生きる』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。