ベンプロペリンで音が高く聞こえる

ある薬局さんを訪ねたときに、鎮咳薬ベンプロぺリン(フラベリックⓇ錠)を服用していると「音が1オクターブ高く聞こえる」と言ってきた患者さんがいたという話を聞きました。薬をやめると元に戻ったという話でしたがメーカーに同じような副作用があるかを確認したところ、現在までに2例報告があり、1例は薬中止で回復、1例は中止しても未回復(現在は分かりません)。しかも症状も半音低く聞こえるという副作用で、今回の症例とは逆に聞こえた例だったそうです。

①ベンプロペリンとは

パスカラニュース213号でも取り上げた中枢鎮咳剤の一つで、非麻薬性、非モルヒナン構造系の薬です。モルヒネやデキストロメトルファンと同じく、延髄の咳中枢に抑制的に作用して鎮咳作用を示すとされていますが、モルヒネなどの麻薬性鎮咳剤とは咳中枢の別部位に作用するとされています。

構造は図表1になり、点線で囲んだ部分がリン酸コデインやデキストロメトルファンとよく似た構造をしているとパスカラニュース213号では記載しました。そして似た構造を持つ薬は他にチペピジン、ノスカピンがあり、クロフェダノールは上記構造の開裂型で、ペントキシべリンは構造的な関連性が不明でした。

写真を拡大 [図表1]ベンプロペリン