不耕起栽培技術も日本の実態に全く即していません。前述したようにトウモロコシの後作にダイズを栽培する場合、春に畑の表面を覆っているトウモロコシの残渣を切りながら細い溝を掘って、そこにダイズ種子を播種しなければなりません。この一連の操作が不耕起播種機(No till planter)と呼ばれる機械で行われます。

トウモロコシの残渣には太い茎が含まれており、大型のディスクと呼ばれる鉄製の円板でなければ切断できません。したがって不耕起播種機は重くなり、その播種機を牽引するトラクターも大型になります。

つまり、不耕起栽培には大型機械が必要になりますが、日本の畑のサイズが小さいために、大型の播種機やトラクターを効率良く稼働させることができません。さらに大型機械は高価な上に、土壌を固結させて畑の排水性を低下させます。不耕起栽培には、メリットよりもむしろデメリットの方が多いくらいです。

にもかかわらず、米国やオーストラリアでは不耕起栽培が広範に普及しています。これは裏を返せばそれだけ土壌流亡が深刻だったということになります。

環境保全型農業は最新の技術のように思われますが、米国では、太平洋戦争が始まった一九四〇年代からすでに研究が行われていました。さすが世界一の農業国だけのことはありますが、この最新の農業技術が綻びかけています。

そしてこの原因を辿ればやはり雑草に行き着きます。雑草対策が洋の東西を問わず、農業の根幹であるということがお分かり頂けたのではないでしょうか。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『 雑草害~誰も気づいていない身近な雑草問題~』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。