人間ドックと聴力検査 平成十八年三月十八日投稿

今年も人間ドックに行ってきました。

昨年は硫酸バリウムを飲んだ直後に聴力検査があり、下剤の効果でお腹が絶叫し、音が聞き取れなかった苦い経験をしました。今年は運良く先に聴力検査があり、ピーという音をしっかり聞くことができました。

検査表を見ると低音を1000Hz(ヘルツ)高音を4000Hzとしてどれくらいの大きさで聞き取れたかを調べていたようです。年齢と共に高音が聞き取りづらくなるようです。

Hz(ヘルツ)とは音の高さを表し、物体が一秒間に振動する回数のことです。太鼓をたたいて皮に手をあてると、皮がふるえているのがわかります。また、手で皮を押さえてたたくと音は出ません。

つまり音が出ているものは全て振動しているということで、振動数が少ないと低い音、多いと高い音になります。

イルカが聞こえる音の範囲は約百五十~十五万Hz、コウモリは千~十二万、犬は十五~五万、猫は六十~六万五千、人は平均で二十~二万Hzと言われています。

そう言えば昔テレビドラマで、吹いても何も音がしない笛になぜか犬がやって来るというのを見ました。そのときは不思議で仕方ありませんでしたが、人には聞こえない高い音が犬には聞こえるということだったのです。

今年も人間ドックは無事に終わりましたが、バリウムが足りなくなったと言われ、追加でバリウムを飲まされたことは誤算でした。その後、下剤を飲んで間もなく、トイレで白銀の世界を見つめながら、健康の有り難さを嚙みしめました。

きらいな言葉「キレル」 平成十八年四月十九日掲載

最近「ちょっとしたことにも感情を抑えきれないで激しく怒り出すこと」を「キレル」と言ってマスコミが好んで使っていることに、私は不快感を持っています。

テレビ番組でも「まじギレ」とか「逆ギレ」という言葉をよく聞きます。

過日の三山春秋にも、堪忍袋の緒が切れた赤穂城主の行動は今風に言えば「キレル」がぴったりだと書いてありました。

しかし、キレルという言葉の語源が凧の糸が「切れる」なら合点がいきますが「堪忍袋の緒が切れる」の「切れる」から来ているのなら大いに疑問が残ります。堪忍袋とは、怒りを必死に抑える理性のようなものです。

そして、ぎりぎりの我慢の蓄積でとうとう緒がはち切れてしまった状態を「堪忍袋の緒が切れた」と考えるからです。

「我慢できない、我慢を知らない子供達」と言わず「キレル子供達」と表現するのは、言葉遊びとしか思えません。

学者まで最近の子供に忍耐力が無くなった原因は、と言わず「キレル」原因は低血糖状態とカルシウムなどのミネラル不足で、理性を司る大脳皮質の働きに障害が生じているからだと言っています。

ちょっとしたことにも感情を抑えきれずに激しく怒り出すことは、実は辞書の癇癪(かんしゃく)の説明です。

今の中高生は精神的に未発達で、動物的に逃避するか逆に攻撃に転じるという点で幼児と同じ傾向があるということです。これからはキレ易い子を君は「癇癪玉」のようだねと言ったらどうでしょうか。

* 最近では教師までも「キレル」という言葉を普通に使うようになってしまいました。糸が切れるのではないのですから、軽々
しく「キレた」と言ってほしくありません。日本語を誤った方向に変化させるような風潮も賛成できません。

※本記事は、2018年7月刊行の書籍『日本で一番ユーモラスな理科の先生』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。