第1章  令和の今、行政改革最高のチャンス

東京一極集中が少子化のプロモーター

この国難の人口減少を推進しているのが人口の東京一極集中である。東京一極集中は非人道的とも言える通勤・通学風景に端的に表れている。あんなに混雑していれば痴漢と誤って逮捕される人が続出するのも無理はないと田舎者の私は思ってしまう。

時差出勤やテレワークで少しは緩和されるのではと思うが、まだまだ将来の話。盆や正月の帰省ラッシュをNHKなどのメディアは風物詩の如く流しているが、そんな甘いものではないことを身をもって思い知らされた。

平成最後の年の暮れ、28日に日本専門医機構の会議が東京であり、日帰りの指定席を自分で取っていた。「先生、グリーン車に変更しますよね?」と秘書が尋ねてきた。「ダメ」と言ったが時すでに遅し。

グリーン車が取れるどころかこの数秒間の遣り取りの間に指定席も取られてしまったのである。ゴールデンウィークや帰省客の多い時期はグリーン車でも横に人が座るので指定席にしていたのであった。秘書の親切心が仇になったのである。

のぞみは勿論、ひかりやこだまも駄目。飛行機や高速バスもキャンセル待ち。北陸新幹線も当然駄目。その日は泊ることとし翌朝一番の新幹線自由席に懸けることとした。

東京駅の切符売り場は5時半頃に開くと知っていた。しかし東京駅の売り場は混雑する筈と前日に宿に近い四ツ谷駅で切符を購入。八重洲口で開場待ちの人となだれ込み中央改札口に並んでいたが、自由席は南改札口が近いと考え移動すると既に長蛇の列。革靴は走りにくいので走りやすい靴に替えてきていた。

5時45分頃に改札が開始されホームへダッシュ。3号車、2号車は満席。1号車の前方のドアから入り1番C席のラストワンに座れた。座った後からもどんどん通路に人が立ち、デッキにも人が溢れている。私の横にはバギーに乳児、5歳と3歳位の幼児を連れた母親が立っている。

これは途中のどこかで席を譲るべきか心が揺れた。別のホームも同じ状況で、この列車のホームには次の列車を待つ客で既に一杯。

発車前7~8分の頃から子供がムズかり泣き出した。5歳位の子は通路に置いたトランクの上に座っている。とにかく文字通り立錐の余地もない程の混雑。閉所恐怖症や病弱の人は無理な状況と一応医師である私は診ていた。

暫く子を宥めたりお菓子で気を引いていた母親も諦めて「降ります」と叫び始めた。降りるのも大変である。バギーを頭の上に上げて他の客がリレー、母親は発車直前に乗客の協力で無事に降りることができた。

新横浜では乗降なし。乗れなかったのである。名古屋でも降りる人がなかなか降りられず、乗る人には指定席のデッキに廻るように放送はあるものの発車はかなり遅れた。

これが12月29日朝一で東京を発つ「のぞみ1号博多行き」の風景である。他の新幹線や在来線も大晦日までこの騒ぎが続くのであろう。空路やフェリーを加えると、どれだけの人が地方に帰るのであろうか。地方衰退、東京一極集中を身近に痛感した事例である。