第1章  令和の今、行政改革最高のチャンス

東京一極集中が少子化のプロモーター

東京の出生率は全国一低い。つまり最下位である。あんなに若者が多いのに何故?と思われるかもしれないが、産めない環境なのである。人口増は東京都や沖縄県など7都県だけになったが、中身は全く異なる。沖縄県は自然増の要素もあるが、東京都は社会増が中心である。

政府も東京都23区内の大学の定員を制限したり減らすことを文部科学省を中心に始めた。産業の地方移転に減税や補助金を付けても全く効果がなかったことにやっと気づいたのである。東京と大都市間の人口移動で東京が負けている都市はない。

特に生殖可能年齢の若い女子にその傾向が顕著で、人口問題研究所の資料でも再確認した。大阪や名古屋、横浜などの大都市でも流出が多く、ボロ負けしていないのは京都市と神戸市位である。若い女性に好まれる何か、女子大とか福祉系の専門学校、歴史や文化、美味しいグルメやスイーツか?

我が国の企業は中国などの国家資本主義と異なり純粋の民間資本主義社会である。法を破らない限りは資本の論理で動く。マーケットの大きい大都会か加工貿易中心の我が国では原料輸入港に近い所に工場を置き、日本株式会社のお目付け役である経済産業省のある東京に本社は集中する。

京阪神の大企業も京都や神戸のベンチャー的な一部の会社を除き、ワールドエンタープライズは皆東京に移転。辛うじて2本社制が関の山である。国の言うとおりにして利益が減ったなら資本家の株主に叩かれる。

もし私がその会社の株主であれば、地方移転の事業計画には反対票を投ずるであろう。幸か不幸か私はどこの株主でもないが……。これでお判りの如く、地方創生は大企業頼みでは成り立たないのである。トリクルダウン理論(大企業の利益が下請け、孫請けへと滴下し、社会全体が豊かに潤うという考え方)は高度成長時代、つまり今の中国やASEAN諸国には当てはまるが現在の我が国には夢のまた夢であり、初めから間違った政策である。

一次産業の重要性については、老人の社会参加や就労とともに後に述べる。これらは夢の如く宝の山、宝の海、宝の空なのである。

都会の職場で定年を終えた方達が地方に戻り、一次産業に再就労しているのは地方にも都会にとっても良い傾向である。空き家や休耕田が減り、荒廃しつつある里山や森林も再び生き返る。漁業の最前線は無理としても一次産業には家族労働を要する場面が多くある。

漁網など漁具の修理、海草や魚介類の天日干し、山の下草刈り、農道などの除草や整備。山羊や鶏などを飼えば食料は殆ど自給自足である。主食の米作りや麦までは少し難しいかも知れないが、田舎にはシルバー事業を待っている所も多く御近所力も強い。

空気が清々しく自然豊かな地方で第二の人生を過ごすのは、首都圏の老人施設で暮らすよりは数段ハッピーである。タイなどの東南アジアを考えている人もいるようだが日本で天寿を全うしてほしいものである。

老壮青幼と揃った地域は必ず活気付き、祭や伝統芸能なども継承されて地方も生き残れる可能性が出てくる。「都市の老人よ、帰りなんいざ、田園まさに荒れんとす」そして「変えるのは今でしょ!!」

※本記事は、2020年2月刊行の書籍『令和の改新 日本列島再輝論』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。