はじめのはじめ(序の序に)

この稿の執筆中、平成最後の風邪と人生初の花粉症(自己診断ではあるが)で苦戦中に元号が“令和”と決まった。国粋的傾向が強い雰囲気から古事記、日本書紀か万葉集かと読んでいたが万葉集から選ばれたとのこと。

強面の菅官房長官も余裕の笑みで国民の受けも良さそうである。小渕氏の“平成”の時は昭和天皇御崩御の直後で余り浮かれることはなかったが、今回は慶賀一色で生前退位のプラスの面が出たのであろう。安倍首相と菅官房長官のやや得意気とも思える記者会見を見ていると、私が以前から抱いていた予想が益々膨らんできた。

荒唐無稽と言われるかもしれないが、プーチンとメドベージェフの姿が重なるのである。菅氏をメドベージェフ的にショートリリーフ、安倍氏が4選5選と続け成るか成らないかは別として彼の悲願の憲法改正への道を突き進むシナリオである。

これにはこのパターンしか影響力を保てない麻生副総理や二階自由民主党幹事長も両手を挙げて賛同するのであろう。菅氏は“改元叔父さん”として国民的評価も以前より上がり、手堅い政権運営の要の役を長年やっており海外や党内からも無難な選択に思える。岸田氏と禅譲の密約があったかどうか、また石破氏の動向にもよるがかなり確率は上がってきた。

アベノミクスによる地方創生は、本社や工場を首都圏主として東京から地方へ移すと補助金や減税というものであるが、先日の自治体へのアンケートで7割が無効、3割が忖度の為かまだ判らないと回答。多分100%無効であろう。自分が株主なら反対するであろう。

幸いどこの株主でもないが。以上の自治体への企業誘致は失敗と始めから判り切った結果が発表され、対露北方領土や北朝鮮の拉致問題交渉の不調が目立つ中、石破氏寄りの風は吹いてはいるものの安倍、菅、麻生、二階の四天王的な強みはそう簡単には崩れない筈である。

お決まりの南朝鮮の反日感情による国際法違反なども加わっているが……。問題は消費税10%へのアップのみである。これさえ乗り切ればこのシナリオの実現性は高いと見ている。

さて、この本の題は「生命(いのち)輝かそう日本国民~日本再輝(さいき)~」としようかと思っていた。全国自治体病院協議会の仕事で各地の潰れそうな公立病院やそのサポーターの会、中央社会保険医療協議会の報告的な地方の医師会に招かれた会、日本から外科医がなくなるのを憂い行動する会などの全国各地での講演時にはこのタイトルを掲げていた経緯があるからである。

大体は三段構えで、タイトルの次にはその時のトピックス、「地域包括医療・ケアの時代に」とか「チーム医療を推進するために」「医療安全こそ最大のサービス」とかを入れ、最後の三段目に「全員参加の病院づくり、街づくり」を入れることが多かった。例えば地元の赤穂高校では『生命輝かそう赤穂高校18歳~エイズと禁煙教育~(人生百年時代の心がまえ)』近くの老健施設では『生命輝かそうつつじ荘80歳~がんと寝たきりにならない為に~(健康寿命あと10年)』という風であった。

これは、人口減や過疎化、医師不足や地方自治体の財政悪化で衰退、或いは消滅寸前の自治体病院にエールを送り、地域住民や理事者の首長、議員諸氏に“医療の無い所に人は住めない”ことを再認識していただくためである。私は医療と教育と一次産業の活性化(六次化)するしか地方の生き残りはないと考えている。

もう一つの理由は自分の経歴による。今も故郷徳島県の四国三郎吉野川中流の山峡に住む母は、私が小・中学校の生意気盛りの時に口応えすると「お前なんか満州に放ってきたら良かった」と言うのが常であった。そう、私は中国残留孤児の成り損ないである。

満州佳木斯(チ ャムス)の陸軍病院で産まれ奏天の満鉄朝日街に住んでいたが、戦況悪化のために母の背に負われて満州鉄道、京畿鉄道、関釜汽船を経て帰国したようである。母は疲労か栄養不良、病気のために下関の軍関係の病院に入院。母の実父である私の祖父が田舎から迎えに来て四国の実家に辿り着いたようである。

恐らく我々と同年代の子供やソ連参戦後の婦女子など多くの日本人が異国の土になったことは歴史の示す所である。その方々のためにも私は輝いて生きようと!!

更に、私の父はフィリピンへ転戦しルソン島のカガヤン峠という所で戦死した。母の母である祖母は「公雄、お前の父さんは傷病兵を守って赤十字の旗を立てていたのに鬼畜米英に撃たれて殺された。大きくなったら仇を取れ」と子供の私に言うのが口癖であった。

また、マッカーサーによる農地解放で土地の殆どを失い、吉野川畔のタモリが好きな河岸段丘の上から夏の夜に害虫を殺す誘蛾灯の夜景を私に見せ「あそこもここもうちの田んぼだったけど小作人に渡した。出来たら取り返せ」と言われた。山林だけは残ったので夏休みには山番のお爺さんと蝮や蜂の多い山林を歩きながら「あの杉とこの岩を結んだ線が山林の境界」と教えられた。

ただ、祖母は母が再婚した義父とは折り合いが悪かった。大変な人格者で、非常に幸せな子供時代、学生時代を過ごした私にとって大恩人ではあるのだが……。また、弟も二人作ってくれたのではあるが……。フィリピンのみならず先の15年戦争で死んだ400万人の国民やその他の多くの外国の犠牲者の方々のためにも、こうやって元気に生き残って生を謳歌している者が皆輝いていなければ、と。

セクハラにならぬ様に医師、一応一科学者の話として聞いて欲しい。1回の射精で1億弱の精子がでる。1回の排卵で数個の卵子が出る。これを繰り返して出来たのが皆様方1人の人間である。1/1億・X・Y(1億×X×Y分の1)超エリートである。地球に招かれた、茶道で言えば正客である。残りの方達(?)の分も輝いて地球に迷惑をかけずに去らねばならない。日本国中すみずみまでどこに居ても輝いて生きようという主張である。

また医師という職業柄、どんなに辛く苦しい時でも笑顔を忘れずポジティブに輝いていなければならない。我々医療提供側がションボリとしていれば病んだ人、傷付いた方などは不安になる。こんな人に任せていいのだろうか? ここは大丈夫だろうか? と。

私が院長を22年間任された赤穂市民病院では、元事務長が収賄で逮捕されたり看護連盟推薦候補応援の選挙違反で現職の看護部長が捕まった時でも、どんな逆境にあっても輝いたふりをしてほしい、と無理なお願いを職員にはしてきた。それが本当の輝きになったことは後で知った。まねぶことは学ぶことだったのである。

また、今回の大阪万博のテーマは“生命輝く未来社会のデザイン”となった。企画委員の大物院長から「先生のテーマをパクらせてもらいました(笑)」と。これらのことは最後の「私のささやかな試み」の章で述べたい。

※本記事は、2020年2月刊行の書籍『令和の改新 日本列島再輝論』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。