第1章  令和の今、行政改革最高のチャンス

医学部は工学部に学べ‼

なぜ医学部に産科学科や外科学科はないのか? 私は以前から医学部は工学部の歴史に学んで時代の要請に応じた人材、つまり医師を育成すべきと主張している。

工学部の歴史は明治維新の頃は鉄や銅の鉱山学科や冶金学科、絹織物の繊維学科に重点を置き鉄道や道路のインフラ整備のための土木建築学にも力を入れてきた。車社会になると機械学科、電気や電子が注目される頃にはこの分野にも取り組んできた。

ナイロンやビニロン、ポリエステルなどは応用化学、飛行機の航空学科、更には原子力学科や公害対策の環境工学、今は情報通信工学(ICT)やバイオが全盛である。いつも時代に沿って必要な分野の人材を育成してきた。

翻って医学部は殆どの医学部が金太郎飴の如く医学部医学科である。医学部薬学科とか保健学科、栄養学科があった時代もあったが殆どが独立し、医師は全て医学科のみである。これでは診療科偏在の解消は“百年河清を俟つ”に等しいと考えている。

手術が必要な外科系の診療料はハイリスク・ローリターンの診療報酬制度や一人前になってから引退までの実働年数が短い。さらにはONとOFFの区別なく働きつづけなければならない外科や産科は敬遠され続けるのであろう。医師は人の全体を診るのだから機械などの部品とは異なるという理屈はよく解るが、それは教育課程で乗り越えていくことが可能である。

基礎医学の医師も減り続け、新設医大の教授にも非医師の理学部や薬学部、農学部出身の方が増えてきた。これでは医師を養成する機関として少し疑問が残る。どこの大学でも苦労して最低限の医師の教授を確保しているようではあるが、これが現実の姿であ る。