第二章 がん細胞との会話

13  がんを隠してはいけない

いろんな方に自分のがんの経験を話すようになって、「私も(僕も)がん治療中なんです」「実はこんながんにかかってしまって」と話してくださる方がとても多いので、やはりがん患者の方はたくさんいるのだと実感しました。

私の話を聞いて、「勇気をくれてありがとうございます」「もっともっと前向きにやっていきます」とおっしゃってくださる方が多いので嬉しく思っています。「また元気な姿でお会いしましょう、弱気になったときはいつでも連絡ください」 

とお話ししています。

一方で、いろいろな会社の懇親会に出ていると、いかにがんを隠していらっしゃる方が多いかということにも気づかされます。人にうつる病気でもないのに、隠して隠して、がんは悪いものだというようにとらえている方がたくさんいることも初めて知りました。

日本は病気というだけで仕事を降ろされたり、出世の道が阻まれたり、会社に知られると辞めさせられるのではないかという不安があるために、秘密にしてしまう方が多いのではないでしょうか。

働くがん患者の三人に一人が離職し、離職者の四割は治療開始前に仕事を辞めてしまうそうです。

「こんなばかな世の中を変えない?」

と私は思います。堂々とがんを告白できるような社会になったら、助かる命も多くなるはずです。そうなることが私の願いです。

がんの話題をされること自体、いやがる方がいることもわかりました。自分が病気でないと「そんな話、聞きたくもない」という方もたくさんいます。

私の会社が主催する懇親会で、私ががんであることを公表するのを快く思わない方たちが身近な会員の方たちの中にいたのでした。会社の理事である私が病気になったことで会社の評判を落とすことを心配した人もいたようです。そういう方に出会うと私は決まってこう言いました。

「悪いことしているわけじゃないのに、なぜ隠す必要があるの? ナイショにしている人はみんな死んでいます!」

実際にがんを隠すと体が弱っていってしまう。悪いことじゃないのに隠すなんて、どうしてこうも日本人とは奥ゆかしいものなのかしらと思います。

がんを人に言いたくないという理由を尋ねると、

「周りに心配かけるから黙っていたい」

「心配していると言ってこられるのがつらい」

「がんを公表することによって、“ステージはどれくらいなんだろう?” “だんだん痩せてきたね” などと人に噂されるのもいやだ」

という答えが返ってきました。「それって違うんじゃないの?」というのが私の考えです。

人に言えないで、隠す方が苦しいものです。私は噓を言うのが嫌いですし、自分から苦しさを取ってしまいました。

私は「がんになっちゃった」と言ったとき、

「さぁ皆さん、いい情報を伝えてください!」

という気持ちでした。本当に心配しているのなら、「こういう治療法があるらしい」とか、「あそこに専門医がいる」というような情報を教えてくれるはずです。私はそう信じたい。

その方がチャンスがありますし、集まった情報を元に自分に合った病院を選んで、医師と相談して治療法を決めればいいのです。それをせずに秘密でコチョコチョと考えているなんてつまらない。

私はいい情報をどんどん発信するし、人からも教えてもらえるような人間関係を築きたいと思っています。

私の話を聞いて、ただただ涙を流す方もあります。強い言葉でショックを受けていらっしゃるのかもしれません。でも人はつらいときに、誰かに聞いてもらったり、対話することで救われるものです。

自分自身をきちんと持っていたら、怖いものはなくて、噂されても気にしないでしょう。

「あなたは人から噂されるほど、素敵な存在なのよ」

そう言いたいです。自分に自信を持って、突き抜けちゃえばいいと思っています。

できるだけ多くの方とお話をして、がんとの会話を実践していただいて、元気になっていただきたい。

「二人に一人ががんだという世の中でも大丈夫、楽しくやれる!」

ということを発信するグループをつくりたいなと思っています。

人の噂なんて

気にしない。

がんをオープンにして

できるだけ情報を集める。

※本記事は、2019年8月刊行の書籍『がんでは死なない 余命3カ月から生還する心構え』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。