第一章 がんは他人事

「自分はがんにはかからない」という自惚れ

最初にステージⅣのがんを告知されたとき、「え、私ががん? 信じられない」と咄嗟に思いました。なぜなら私は「自分はがんにはかからない」と言い切っていましたし、「かかるわけがない」という何の根拠もない自惚れがあったからです。

それにもかかわらず人には、「がんなんて字を見ればわかるでしょ? 病だれに品という字を山が支えていて、悪い細胞が山ほど積まれているみたいで、そんなの根性がひん曲がった人がかかる病気なのよ」と平気で言っていました。とても傲慢でした。

そして、「がんは他人がつくったものじゃないのよ。あなたの食べた物、習慣、ストレス、心が、正常な細胞を狂わせたのよ。あなたのすべてがダメだったというわけじゃない。だけどいろんな面で自分のことを大事にしていなかったでしょう? だからまず自分の体にできたがんに謝っちゃって。そして自分の誤りに気づかせてくれてありがとうございますって言ってね」

そう周囲にアドバイスしていたのです。

そして私が理事を務めるセブ島の会員制リゾート施設で、がんにかかった会員の皆さんに療養することを勧めて、「セブ島のマイナスイオンたっぷりの遠浅の海に浸かって、がんに“私の体にいて私を弱らせちゃったら、自分も死んじゃうのよ、そんなのつまらないでしょう? この素晴らしい海で、今日、お別れしましょう。がんちゃんありがとう! バイバイ!”ってがんちゃんにさよならしてきてね」と話していました。

会員の方の中には、実際にそれを実行してくださり、「おかげ様でこんなに元気になりました」とおっしゃって、五年後、十年後もお元気な方が何名もいらっしゃいます。周りの方にそんな助言をしながらも、がんというのは二人に一人がなる病気だと言われながらも、「私はならないよ」という自負心がありました。

そんな尊大な私に、「あんた、おかしいんじゃないの?」というメッセージとして、がんが私に現れたのではないかと思っています。これまで「あなたは心配症だからいけないのよ、病気になっちゃうわよ」などとはっぱをかけていた人間ががんになって、多くの人を傷つけていたことにようやく気がつくことになりました。

「がんは根性がひん曲がった人がかかる病気、自分はかかるわけがない」

そう信じていた。