「笑い」は健康をもたらす 

免疫について、最近、私が注目しているのが「笑い」の効果です。

笑いと免疫とどういう関係があるのと思われる方がいるかもしれませんが、実は、笑いは交感神経を緩めるということで、健康にもたらす効果が医学界でかなり前から注目されているのです。

また、笑いが免疫力を高めるということで、医療に笑いを積極的に取り入れている医師もおられますが、いま一つ根拠がはっきりしませんでした。それが、最近の研究で科学的に確認され、大きな話題を呼んだのでした。

研究結果を発表したのは、大阪のがん専門病院である「大阪国際がんセンター」(大阪市中央区)の研究グループです。

研究は、芸能事務所の松竹芸能と米朝事務所、吉本興業の協力を得て、2017年5月から8月にかけて実施されたのですが、その内容は、通院中のがん患者さん70人を3グループに分け、2週間に1回、病院で定期的に落語や漫才などの公演を楽しんでいただいて、どのような効果があるかを検証するというものでした。

研究の結果、落語や漫才を鑑賞したがん患者さんたちは、鑑賞していない患者さんたちに比べて免疫力が向上したほか、緊張や疲労といった心身の状態も改善したことなどが確認されたと報告されています。

その際、患者さんたちの血液を採取して分析したところ、笑いを鑑賞した患者さんたちの1人は、リンパ球の一種であるナチュラルキラー(NK)細胞の、血中の割合が実験前の約1.3倍に増えたことなどが確認され、鑑賞した患者さん全体でも免疫細胞の増加傾向がみられたといいます。

また、落語や漫才を鑑賞した後の気分についても調べてみると、「緊張」や「抑うつ」、「疲労」「怒り」などの改善がみられ、がんの痛みについても改善があったそうです。

昔から「笑いは百薬の長」とか「笑いに勝る良薬なし」「笑う門には福来る」などといわれていますが、昔の人も「笑い」が心や体に良いことを体験的に知っていたのかもしれませんね。お腹の底から笑うと、心も体も元気になったような気がするのは私だけでしょうか。