2つ目は1978年のエリザベス・ブラックバーンによるDNAの末端にある特徴的なテロメア配列の発見と、1985年のブラックバーンとキャロル・グライダーによるテロメアを合成する酵素、テロメラーゼの発見です。現在、テロメアと老化の関係が注目されています。

生まれたばかりの赤ちゃんのテロメアは長く、高齢者のテロメアは短くなっているのです。テロメアの長さは年を取るにつれて短くなっていることがわかったのです。

ブラックバーンは現在、老化とテロメアの関係を研究しており、どのようにしたらテロメアの長さを維持できるかという問題を『細胞から若返る!テロメア・エフェクト 健康長寿のための最強プログラム』という本にまとめています。

その本のなかで、ブラックバーンは、テロメアの長さを維持するために重要なことは、1.軽めの有酸素運動、2.野菜中心の食事、3.7時間以上の睡眠、4.良好な人間関係、5.瞑想などの精神統一だと述べています。まさに、ストレス削減がテロメアの長さの維持に重要なのですね。

老化に関しては、私たちが発見したウーロン茶や紅茶のMAFにも関連があります。

トーマス・チェックのリボザイムの発見も、エリザベス・ブラックバーンのテロメア配列の発見も、実はテトラヒメナを実験材料に選んだことが成功につながったのです。なぜかというと、テトラヒメナではリボザイム活性がとても強かったのです。

一方、テロメア配列に関しては、テトラヒメナのDNAは断片化しており、DNAの末端がとてもたくさんあったため、テロメア配列の研究には打ってつけだったのです。テトラヒメナのことは拙著『ノーベル賞に二度も輝いた不思議な生物 テトラヒメナの魅力』を参照ください。

私たちのウーロン茶や紅茶由来の高分子ポリフェノールの研究にも、テトラヒメナは最高の研究材料でした。良い研究材料を選ぶことは、研究の成否につながると思います。