コラム:ミトコンドリア

紅茶やウーロン茶の高分子ポリフェノールであるMAFが活性化するミトコンドリアについて紹介しましょう。ミトコンドリアは核を持つ真核細胞の細胞質に多数(数千個)、存在します。大きさは直径が0.5μmで、長さは10μmに達するものがあります。

私たちの細胞ではミトコンドリアは管状につながっており、細胞質の隅々まで延びています。面白いことに、管状のミトコンドリアは伸びたり縮んだり、ちぎれたり、くっついたりととてもダイナミックに動いています。ミトコンドリアが動いている動画を林純一氏から見せていただいたときは本当に驚きました。

このダイナミックな動きは、ミトコンドリアのエネルギーを生産する働きの維持に関係しているようです。ミステリアスなミトコンドリアの働きについては、林氏の著書『ミトコンドリア・ミステリー 驚くべき細胞小器官のはたらき』に詳しく書かれています。

ミトコンドリアは外膜と内膜の二重の膜で囲まれていて、外膜と内膜の間を膜間腔、内膜の内側をマトリックスと呼んでいます。内膜はマトリックスに向かって突き出しており、これをクリステと呼びます。(図1)

内膜の上には電子伝達系の酵素群(複合体Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ)とATP合成酵素が存在します。電子伝達系の酵素群やATP合成酵素の数を増やすために、クリステを形成して内膜の面積を大きくしているわけです。

マトリックスにはミトコンドリア固有のDNAとリボソーム、そしてクエン酸回路の酵素群と脂肪酸酸化(β酸化)に関わる酵素が存在します。(図1)

図1.ミトコンドリアの働き。ミトコンドリアの燃料である脂肪のなかの脂肪酸は活性化された後、β酸化によってアセチルCoAになりクエン酸回路に入ります。一方、ブドウ糖(グルコース)は解糖系でピルビン酸となり、ミトコンドリアに入りアセチルCoAとなってクエン酸回路に入ります。クエン酸回路で作られたNADH + H + とFADH2は電子伝 達系に高エネルギー電子を供給します。高エネルギー電子が電子伝達系 を流れる過程で、H + が膜間腔にくみ出されます。H + が膜間腔からATP合成酵素を通ってマトリックスに流れ込むときに、ADPを酸化してATPを合成します。この図は『生命系の理工学基礎 生化学 ミトコンドリアとは 構造や機能を分かりやすく解説』より改変。