ステークホルダー・パートナーとの良好な関係構築

ステークホルダーというのは、自分たちの活動に大きな影響を及ぼす重要な人物や団体・組織を指す。

自分たちも組織活動として達成したい目標があるから、ステークホルダーに自分たちの活動に対して協力を仰いだり、あるときは支援活動をお願いしたりする必要が出てくる。そのために良好な関係を構築しておく必要が出てくる。

コンピテンシーの根幹になるのは、やはりお互いの関係がWin-Winになるように調整できるかということである。

組織内外のステークホルダーを特定し、あるいは開拓し、ステークホルダーと協働することで自分たちの組織活動が最大限の効果を得るために、関係・連携強化を行うことが必要になる。行動特性としては、ステークホルダーの影響を客観的に分析して、期待する効果を明確にしている。

組織内外のステークホルダーとWin-Winの関係が構築できるように働きかけている。また良好な関係を持続するための工夫も考えておく必要がある。

協働のメリットばかりが強調されがちであるが、ステークホルダー対策においては利害関係の中の害の部分も丁寧に精査する必要がある。

「成熟したコミュニケーション」で出てきたように、利益と反するステークホルダーに対しても、例えば政治的な圧力をかけないように働きかけるような状況が必要になるため、利害関係が相反する相手とも上手にやっていくことが求められる。

そのために管理職やシニアマネジメントは何をすべきか、よく考える必要がある。ヒト、モノ、金、時間、情報など自分たちの使える活動資源をフル活用して、最大限の効果を得られるようなステークホルダー・マネジメント・エンゲージメントプランを策定することである。

地域社会、一般消費者、行政機関、大学のような研究機関、政治家、株主、取締役会やガバナンス会議体、所属団体、組合、顧客・取引先、従業員などなど、その組織の状況によって多様であり、更に間接的な利害関係まで評価しておくことを推奨したい。

また、最近、多くの組織では利益相反に関する方針を自ら定めていることがある。自分の組織の利益相反に関する考え方を理解しておくことはとても大切である。法令や社会的な視点も含めて、自分たちの倫理観が受け入れられるものなのかどうか、定期的に自己点検することもお勧めしたい。

このコンピテンシーの高いタレントには、組織横断的な戦略構築の一端を担ってもらう、あるいは組織の顔として業界活動などで組織の評価を上げてもらうことを期待したい。