バドミントン部の強化と、離島ネットワークの構築

S中学校のグラウンドは、全面芝生だった。

その維持・管理を任されたのだが、島出身の前任の先生が手塩に掛けて手入れをしてきており、そのプレッシャーたるや、ハンパない感じだった。体育科でありながら、運動部の顧問もせず、グランド整備にもの凄い時間を費やしていたと伝え聞いた。

島出身の理科の先生に芝刈り機の扱い方などをご指南いただき、雑草抜きなども含め、芝の管理を始めたのだが、やはり相当な時間を取られることが見通された。

そこで、中古の乗用芝刈り機をWebで見つけ、購入して船便で送ってもらった。30万円もしたが、これで時間を買えるのだと思うと、そう高い買い物だと思われなかったのが不思議だ。

そうした時間の余裕を少しでも作り、部活動や水泳指導などに回せたことで、より充実した島生活を送ることができた。

部活動は、2年生の女子二人だけのバドミントン部の顧問となった。背の高いOさんと背の低いAさんの、でこぼこコンビだった。

これまでの経験に加え、本やDVDなども購入し、さまざまに勉強をしながら臨んだ。地元の若い衆の中に、学生時代にバドミントンをやっていて、社会体育で活躍していたUさんがいた。

部活動での指導や練習相手にもなっていただき、とても助けられた。また、同じ頃、かなりバドミントンのうまい郵便局長さんが赴任していて、社会体育に参加した折などに、指導・助言を数々いただいた。

そうした中、Oさん一人が、シングルスで都大会の新人戦に出場した。

島しょ地区は、Fブロックとして独立しており、他の島と連絡を取り合い、折衝した上で、出場枠が決まることになっていた。背が高く抜群の運動センスの持ち主だったが、都大会ともなると、強豪相手に苦戦を強いられ、やはり力及ばず負けてしまった。

その後は、でこぼこコンビでダブルスを組み、都大会での勝利を目指して練習に励む日々となった。ただ、いきなりの都大会ではかなり厳しいと思われたし、何より島地区でのネットワークを作り、Fブロック大会が開催できるとその意味は大きいと考え、その実現を試みた。

実は、前任のM中学校でも2年目にバドミントン部の顧問をしていたが、いきなりの都大会では厳しいと思い、出場を断念した、ということがあったからだ。