第二章 がん細胞との会話

抗がん剤の副作用を拒否

抗がん剤による化学療法を開始することになり、医師から治療の目的や予想される副作用について説明を受けました。詳細が書かれた小冊子も配布されて、目を通しました。

化学療法は、抗がん剤を使ってがん細胞を死滅させたり、がん細胞が増えて全身に広がることを抑える治療法。私にはアリムタとシスプラチンの「併用化学療法」が採られることになりました。

一回投与した後は二十八日間休むことを一コースとし、四コースを繰り返し行うことになったのです。

この併用療法の副作用として、まず吐き気が出て食事が摂れなくなり、疲労感と味覚障害、便秘、口内炎、脱毛、手足のしびれなど、その人によっていろいろな症状が出てくるということでした。

それを知った時点で私は、
「ふーん、こんなに副作用が出るんだ。でも私には関係ない。こういう風には絶対ならない!」
と頭の中で拒否していました。

二〇一六年の十月十三日、約四カ月にわたる抗がん剤治療が始まりました。
「今、私の体にはあなたが必要なんです。ありがとうございます」
そう口にしながら、私は化学療法室で抗がん剤を受けていました。当日の「治療管理ノート」には、
「体重、毛を減らさない。がんと約束」
「奇跡をおこす」
と大きく書かれています。そのときの強い決意が感じられます。

味覚障害や口内炎の影響で食欲がなくなると聞いていたので、とにかく食事を口からちゃんと食べることを心がけ、たとえ吐いてもまた食べると脳に言い聞かせました。

そうしてがんに話しかけていたのです。
「がんちゃん、これ以上痩せちゃうと顔がコケちゃうから、お願いだからもう体重を減らさないでね」

病気になる前に五十九キロあった体重は、そのころには五十一キロになっていました。けれどがんにお願いするようになってから、体重の変動はほとんどなく、ずっと五十一キロ台をキープすることになりました。

スリムになった嬉しさでスカートを七着新調しましたが、その後着々と体重が増えたため、結局一着も着られずに棚にしまったままになっています。今は病気以前の体重を超え、増えすぎて困るほどですが、おかげで治療を乗り切る体力がついたように思います。

確かに抗がん剤を投与した直後はだるさを感じて無気力になることはありました。また便秘がちになって、三日間便通がなくなり看護師さんに浣腸をしてもらったことも二度ほどあります。ただそれも便を軟らかくする薬を飲むことで解消されました。

私の脳から副作用を受け入れまいとする強い指令が出て、体がそれをブロックしていたのでしょうか。がん細胞が協力してくれているとしか思えないほど、強い症状は現れませんでした。

治療管理ノートに

「奇跡をおこす」と

大きく書いた。

※本記事は、2019年8月刊行の書籍『がんでは死なない 余命3カ月から生還する心構え』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。