そして、同日9時40分頃、対策会議が再開され、前記9名の出席者にK副参事の電話の内容が伝えられたので、被告人を始めとする出席者は、最終結論は、病院事業部の職員が都立広尾病院に来てから直接その話を聞いて決めることとし、それまで警察への届け出は保留とすることに決定したので、医師法第21条にいう、

「医師は、死体……を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」

旨規定する24時間以内、すなわちD医師がAの急死を確認して死体を検案した二月十一日午前10時44分から24時間となる二月十二日午前10時44分が経過してしまった。

病院事業部のK副参事が都立広尾病院に到着したのは、午前11時過ぎ頃であった。

二.

以上の事実によれば、D医師は、Aの主治医であり、Aは術前検査では心電図などにも特に異常は見られず、手術は無事に終了し、術後の経過は良好であって、主治医としてAについて病状が急変するような疾患等の心当たりが全くなかったので、E医師から看護師がヘパロックした直後、Aの容態が急変した状況の説明を受けるとともに、

看護師がヘパロックをする際にヘパ生と消毒液のヒビグルを間違えて注入したかもしれないと言っている旨聞かされて、薬物を間違えて注入したことによりAの病状が急変したのではないかとも思うとともに、心臓マッサージ中に、Aの右腕には色素沈着のような状態があることに気付いており、

そして、Aの死亡を確認し、死亡原因が不明であると判断していることが認められるのであるから、D医師がAの死亡を確認した際、その死体を検案して異状があるものと認識していたものと認めるのが相当である。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『死体検案と届出義務 ~医師法第21条問題のすべて~』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。