「組み体操」における大失敗

こうした島では、小・中学校合同、保育園も参加しての大運動会は、村を挙げての一大イベントである。そして、そのメインの取り組みに「組み体操」があった。中学全校生徒で作り上げる「組み体操」で、男女合同で行ってきているとのことだった。この年、全校生徒数は17人。養護学校で取り組んでいた「組み体操」は、男女合同に丁度いい難易度であるように思われ、それを活かそうと考えていた。しかし、そうとばかりにはいかない。

過去に取り組んできたレベルをそうそう下げられるものではなく、5段ピラミッドに、3段タワーは避けられそうもない。生徒たち自身がそれを望んでいた。5段ピラミッドは、小さな女子も含めないと組めず、しかも最下段の真ん中という要かなめを、一番力持ちの2年生女子がやることになった。

というか、「私がやる!」と言って、「5段ピラミッドをやることを何としても譲れない!」といった勢いだった。さすがにみんな気合いが入ってはいたが、要の女子の両隣の男子の方がヒィヒィ言って、なかなか最後まで組み上がらない。何とか運動会当日には間に合い、見事に5段ピラミッドを完成させた。これには恐れ入った。3段タワーは、というと、本当に悲しい事故が起きてしまった。私の指導法に問題があったと言わざるを得ないが、2段目までを組んで練習している最中、内側に崩れてしまい1年生女子が膝を痛めてしまった。残念ながら靱帯損傷。

「組み体操」どころか、運動会の全ての競技種目に出場できなくなり、見学することになってしまった。まさに痛恨の極みだった。そんなことがあっても「組み体操」を取り止めるわけにはいかず、3段タワーを諦め、2段タワーの上の生徒が直立のまま後ろに倒れ、それをみんなで受けとめる、という手法に変更した。

倒れた時には、「オー!」と驚きの声があがったが、後になって、「なんで3段タワーやらなかったの」的な島の人の言葉は耳に入ってきた。翌々年からは、「応援パフォーマンス」と称し、紅白に分かれ、いわゆるマスゲーム的なダンスパフォーマンスに変更した。それであれば小中学校合同、つまり小学1年生から中学3年生までの縦割りでできる、と提案し、受け入れられたのだった。このあたりは、小中学校併設校で、職員室も一緒という風通しの良さ、極小規模校という小回りの良さが存分に生かされた取り組みとなった。「翌々年からは」とあるが、実は翌年の春先から2カ月もの間、病気療養で島を離れることを余儀なくされたのだった。その間は、体育科教員だった副校長が体育の授業を受けもち、運動会も担当してくださった。

退院し、島に戻って運動会の話をした時に、島に嫁がれていた先生から、「さすがに副校長、『組み体操』も安心して見ていられた」と言われ、熟練の大切さを思い知らされたのだった。

※本記事は、2021年1月刊行の書籍『教育現場の光と闇~学校も所詮〔白い巨塔〕~』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。