9.幹事

おせっかいな性分ゆえ、いつも幹事をやっている。2~3人での集まりから千人を超える高校同窓会まで、同級生、高校部活OB、お稽古仲間、ボランティア同士などいろんな会のお世話をする。

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遠方での会も主催する。元社長の古希のお祝いと元部長の帰国歓迎会をかねた同窓会は、有楽町でやった。

毎回、関係者に呼びかけて、集まる人にとって最適だろうと思われる場所を選んで、会計をする。その作業がけっこう好きだ。

なかでも元部長の退職お祝い会には力が入った。福岡で4年間、部長として多くの部下を育て、その後、各地で重責を担う大役を歴任。当時お世話になったメンバーで、思い出の地である福岡に集まり、恩師の会社卒業を祝うことにした。

各地に散らばった二十余年前の仕事仲間に都合を伺い、なるべく多くの人が参加できる日を決め、人数が決まると会場探し。皆の趣向や交通の便などを考慮し何軒か候補の店を下調べして予約。そして日時場所決定の案内をした。

記念になる品をとプレゼントも用意。趣旨に合う品で、かつ予算内で厳選。会には参加できないが贈り物はしたいという人とは個別に会い、メッセージを書いてもらった。

主賓は東京から。その他の仲間もあちこちに散っている。福岡はもとより、各地からかつての同志が集まった。

主賓の今後の人生のさまざまな可能性への話、皆の近況報告、昔の仲間たちの話、入社面接や新入社員のころのエピソード、今、社会問題になっている教育や介護の話などおしゃべりは多岐にわたり、ずっと大賑わい。折々に二十年余の時の流れを感じつつも、いっきに当時にタイムスリップ。心温まるひとときだった。会は盛り上がり昼食会から四次会まで延々と続いた。主賓と発起人と幹事の私は、場所を変えながら12時間をずっと一緒に過ごした。

帰宅して、参加者へのお礼と欠席者へ報告のEメールを打った。

社会人になって初めて出会い自分を育ててくださった恩師、その会社人生の最後はきちんと見送りたいと思っていた。約1カ月、あれやこれやと奔走したが、それがまた面白く、一生懸命やって満足だった。

毎回、幹事としては、料理は気に入ってもらえたか、予算は妥当か、不手際はないか、皆が心から楽しんでいるか、気になるところ。まあ、おおむね集まった人たちは嬉しそう。

縁あった友にまた会いたくて、皆の喜ぶ顔が見たくて、いつも幹事を買って出る。