二 日本文化と世界

7 良き日本の正月

お正月は皆様から賀状を頂戴し、お見えになった際には「おめでとうございます」、「今年もよろしく」と、ご挨拶をする。今年も良い年になるようにと、心からお祝いの言葉を交わす。

日本人の心の内には、相手に対するおもいやりの心がある。

二〇一三年は「安」という言葉で締めくくられた。日本は世界でも類を見ない、安心な国だと思う。

「安」という字のウ冠(かんむり)は、大きな家を表す。その中に女性が座している姿だ。いかにも家族や人々が仲良く生活している様子がその字に表れている。

お正月には、初日の出を拝み、そして家族の皆さんで過ごす方が多いだろう。

しかし、それにたどり着くまでには、えらいことである。お正月までには、毎日毎日、忘年会。お互いに労ねぎらい、杯を酌み交わす。また、「お歳暮」を持ち、挨拶回り。お世話になった方のお宅へ伺う。一年を振り返り、互いに感謝しつつ、新年を迎えるために大切な行事といっていいだろう。

大切な準備の一つに、大掃除がある。拙宅でも、家族ならびに一門の方々、能を研修する学生さんの力を借りながら、年末には能舞台を磨き上げる。そして新年を迎えるべく「しめ縄」を張る。もっとも「しめ縄」は、悪霊を祓うために古から言い伝えられているものだ。清々しさと共に、自分の身も引き締まる思いで、来る年への希望もみなぎるというものだ。

お正月には食べ物にしても、趣向を凝らした「お節料理」。昆布巻きや黒豆など、縁起物を盛り込み、ご来客や家族と一緒に、穏やかなひと時を過ごす。

また子供さんは「お年玉」をもらえるものだと楽しみに、楽しみに待っている。その子が大きくなったら、今度は自分がまわりの子供達へ「お年玉」を渡すのであろう……。

日本のお正月はとても寒いが、家の中では人々の暖かさで溢れている。しっかりと未来へ受け継いでいきたい、「日本の大切な文化」ではないだろうか。正月には花器に、寒さに耐えた、赤い実を豊かにつけた「千両」と常磐の「松」を生ける。緑と赤がよく映え、生命のいきる力を象徴しているかのようだ。

※本記事は、2018年11月刊行の書籍『世を観よ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。