二 日本文化と世界

6 花を知り、花を求める

新年を祝うお正月は、世界共通のおめでたいこと。お祝いの催し事は世界各国さまざまだ。

「白雪のように清らかな気持ちで一年を過ごそう」との思いが溢れるのが新玉の年の素晴らしさだ。今年こそ悪だくみをしようなどとけしからぬ気持ちを持つ人はまずいない。

日本人は干支をよく使う。二〇一四年の干支は午(うま)。年賀状に駿馬の姿をみたのは多いだろう。干支は古代中国で生まれた考え方だ。

十二支に登場する動物は皆それぞれ人との係わりが深いものばかり。たとえば、ある宗教では牛は神様の化身だが、要領よく牛の背に乗って一番乗りしたネズミは、かわいそうにあまり評判がよくない。

十二支の前に付くのが「十干」。甲乙丙、と十の文字が並ぶ。これが表す自然は大切なもの。

「甲(きのえ)」は人が家を建て、暖を取るのに使う「木(もく)」。「丙(ひのえ)」は文明の始まりとなった「火」のことだ。

「戊(つちのえ)」は植物やあらゆる生命を生み出す「土」。そして「壬(みずのえ)」は「水」を表す。人間はそれらが無いと到底生きることができない。自明の理だ。

そして、人の暮らしに利便性をもたらした「金」。紀元前数千年前から人々はこれらの有難さを知っていたのだ。

二〇一四年の十干十二支は甲午(きのえうま)。「木」と「午」だ。古代から日本の住居になくてはならない木。そして、昔より交通の足であった馬。その優しい目をした馬は、人の為に今でも毎日努力を惜しまず力の限り働く。

十干に入る自然の恩恵。干支に数えられた十二の動物たち。古人は畏敬と親しみの両方でこれらを見ていた。

最近それが脅かされる場面が多い。今年の十干の「木」でいえば、森は切り倒され、コンクリートの建物となる、育ってきた年輪や、自然の環境を思うと、無造作に扱うことなどできないはずなのに……。

そうだ! 今年の干支をきっかけに新たに視点を考えてみるのはどうだろうか。優しくて純真な馬を見習って、自然の有難さを感じながら人が志を持ち、力強く駒を進めるように社会に貢献する、そんな一年にしたいものである。

※本記事は、2018年11月刊行の書籍『世を観よ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。