永遠(トワ)のやくそく

ある秋の、夕ぐれのことでした。

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ぼくは、いつものように、トワの帰りをまっていました。

ところが、その日、トワはなかなか帰ってきませんでした。

おじいちゃんもおばあちゃんも、お父さんもお母さんも、ウロウロしながらまっていました。やがて、でんわが音を立てました。

「えっ! こより川に?」

お母さんとおばあちゃんが、だき合って、なき出しました。

「まだ、見つからないんですか?」

おじいちゃんとお父さんも、でんわにむかって、ほえたりうなったりしています。

そして、かわるがわる家から出ていったり、もどってきたりしていました。

『どうしたの? トワはどこなの?』

なにか、おそろしいことがおきているのが、わかりました。

『ああ、こわいよ…。トワ、早く帰ってきてよ』

ぼくは、小さくはなをならしながら、トワをまちつづけました。

朝がたになって、やっとトワが帰ってきました。

トワは、白いシーツにつつまれて、知らない人たちにはこばれてきました。

『トワ! お帰り!』

ぼくは、ワンワンほえたいのをがまんして、ハッハッといきをはずませました。

でも、なんだかようすがへんです。トワは、目も口もとじたまま、ピクリともうごきません。

おじいちゃんもおばあちゃんも、お父さんもお母さんも、ウォンウォンとなきつづけています。

『トワ、どうしたの? なんで、うごかないの?』

ぼくもウウウ…と、うなり声を出しました。

『ねぇ、おきてよ! 目をあけてよ!』

トワのほっぺをはなでつつくと、こおりみたいに、ヒヤッとしました。

『た、たいへんだ! トワが、こんなにつめたくなってる!』