ぼくは、あわててトワのからだの上にのりました。

『早く、あたためなきゃ!』

手足をのばして、ぼくのあたたかいおなかを、トワのからだにくっつけました。

それからぼくは、とわのむねに、耳をあてました。

『へんだな、音がしない』

ク~ン、ク~ン…。

いつも聞こえてくる、トックントックンという音がしません。

トワのからだは、いつまでたっても、あたたかくなりませんでした。

「クロリ、トワは死んじゃったのよ」

お母さんが、ぼくを見て、もっとはげしくなき出してしまいました。

ぼくには、人間のことばはわかりません。

でも、もう、ぼくにもわかってしまいました。

『きみ、死んじゃったんだね』

ぼくは、トワにむかって、小さくうなりました。

『きゅうに死んじゃうなんて…。ぼく、さよならを言う間もなかった』

ク~ン、ク~ン…。

のどのおくが、やけつくように、くるしくなってきました。

『きみと、もっとあそびたかった!』

グルルルル…。

『きみを、まもってあげたかった!』

ウォォォォォォーン…。

とうとうぼくは、こらえきれなくなりました。やくそくをやぶって、思いきりほえてしまいました。

みんなも、ぼくといっしょに、大声でなきつづけました。

やがてカーテンのすきまから、金色の朝日がさしこんできました。

「あっ…」

お母さんが、小さくうなりました。

トワの目から、ひとつぶのなみだが、こぼれおちたのです。

「きっと、クロリの大きななき声が、とどいたのね…」

ふしぎなことに、トワのかおは、少しわらっているみたいでした。

 
※本記事は、2020年10月刊行の書籍『ソウル・テール だれも知らない、オレたちのじゅもん』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。