厚労省の考え方提示と日本医療法人協会見解

 

日本医療法人協会の意見書の「前文」部分を、そのまま、次に記載する。


厚労省見解に対する日本医療法人協会の意見

1 この議題の見解を述べる前に

○「医療事故調査制度」については、2013年(平成25年)1月23日に四病協合意、2月22日に日病協合意が発表され、病院団体としてのコンセンサスは得られている。その骨子は、医療安全・再発防止の制度と責任追及(紛争)の制度の明確な分離であり、WHOドラフトガイドラインに基づくというものである。

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○2013年(平成25年)11月8日の第5回社保審医療部会に提出された「医療事故に係る調査の仕組み等に係る論点」において、「医療の安全を確保するための措置として、……」と医療安全のための法律であることを明記している。

○上記内容は、同年11月6日行われた、保岡興治衆議院議員、厚労省、医法協の三者会談で厚労省より示されたものであり(医法協ニュース第354号参照)、この内容を受けて、日本医療法人協会は、法案成立への協力を約したものである。

○2014年(平成26年)3月14日の勉強会(科研費研究班)での当協会の意見は、正に、この点を指摘したものであり、この論点を整理し、「3月14日事前勉強会論点の整理」として4月9日の当会議に提出したものである。

前文に記してあるように、5月29日「厚労省とりまとめ」の後、医法協との会談・社保審医療部会・橋本岳議員とのQ&A・自民党社会保障制度特命委員会厚生労働部会合同会議・閣議決定へと進歩して法案化に至っている。簡単に見ただけでも、とりまとめと法案との間には違いがあるため、法案を基に検討を行うべきであるという当然のことを提起したい。

○即ち、0番として記してあるごとく、ガイドラインの検討を進めるための共通認識としての提示であるならば、この0番に、「基本的な考え方(医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方(抜粋))」が記載されているのは問題がある。

ここに、記されるべきは、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(抜粋)」であるべきである。

○法案を基礎とせず、5月29日「厚労省とりまとめ」を基礎とするということは、国会軽視にもつながり、政治・行政のあり方に関わる問題となる可能性がある。

○以下は、議論の基礎としてではなく、単なる「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方(抜粋)」についての意見として記載する。(議論の前提としての共通認識としての厚労省の見解を否定した上で、基本的なあり方についての、日本医療法人協会の見解を記載した。この見解が、後の、日本医療法人協会医療事故調ガイドラインの原型であり、今日の医療事故調査制度の原型でもある。)

2 「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方(抜粋)」についての見解

○原因究明及び再発防止を並列で同時に行う仕組みは機能しない(表3-3-1)。医療の内(再発防止)と医療の外(紛争)は明確に切り分けるべきものである。医療安全のための仕組みであるならば、医療安全・再発防止を図り、再発防止のために原因分析を行うとすべきである。