○再発防止のための仕組みであれば、行政機関への報告は必要ない。法案にある通り、行うべきは、院内事故調査である。院内事故調査委員会までをも設置して院内調査をするか否かは、当該管理者自らで決することである。

助言を求めるか否かも、当該管理者自らの権限と責任において判断すべきことである。第三者機関が助言すべきことは、「死亡又は死産を予期しなかったもの」の定義の説明、報告等の事務手続き等であるべきである。

報告は、法案にもあるように、当該管理者の権限と責任において行われるべきである。この時点の、遺族への説明は、報告後に院内調査を開始するものであるので、調査制度と今後の見込み、医療事故調査制度の仕組みの概要と今後の手続きの流れの説明にとどめるべきである。

○院内調査に納得が得られない場合は、遺族のみでなく当該医療者にとってもあり得ることである。したがって、納得が得られない場合は、遺族・当該医療者ともに管理者に申し出るべきものであり、管理者が管理者の判断で第三者機関に申請を行うべきものである。

遺族・当該医療者等が納得せず、管理者が申請を出す状況にない場合は、既に紛争状態にあると考えられ、「再発防止の仕組み」である医療事故調査制度が関与するべきものではない。当該医療者の医療事故調査における免責なくして、再発防止の仕組みは機能しない。

○法案にある通り、行うべきは、院内事故調査であり、院内調査を行う手法として、院内事故調査委員会を設置して院内調査をするか否かは、当該管理者の判断である。

外部の専門家の支援を求めるか否かも、当該管理者の判断である。また、当該医療者の責任追及の結果をもたらさないよう秘密保持に留意する。

※本記事は、2018年12月刊行の書籍『未来の医師を救う医療事故調査制度とは何か』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。