厚労科研費研究班の混迷と日本医療法人協会医療事故調ガイドライン

3月14日の会議の後、厚労省からの見解を求める文書に「0番」(医療事故調査制度の基本理念・骨格)が追加された。

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「ガイドラインの検討を進めるため、共通認識をもっていただくよう」との記載があり、この基本理念・骨格部分に、5月29日厚労省とりまとめ(医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方)の抜粋が記載されていたのである。

これは、法案を基にせずに2013年(平成25年)5月29日厚労省とりまとめを基にすると宣言したようなものである。ここに記載されるべきものは、当然、法案の抜粋たるべきであり、5月29日厚労省とりまとめの抜粋であってはならない。

この部分は、医療事故調査制度の根幹に関わる部分である。筆者は、日本医療法人協会として、法案無視の運営を厳しく批判する意見書を提出した。

当時、筆者が厚労省に提出した「医療事故調査制度に関する見解」から、「0.医療事故調査制度の基本理念・骨格」部分をそのまま次の項に記載する。どのような争点があったのか理解しやすいと思う。

厚労省の考え方提示と日本医療法人協会見解

「医療事故調査制度の基本理念・骨格」について

厚労省の見解

基本的な考え方(医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方(抜粋))

○原因究明及び再発防止を図り、これにより医療の安全と医療の質の向上を図る。

○医療機関は、診療行為に関連した死亡事例が発生した場合、まずは遺族に十分な説明を行い、第三者機関に届け出るとともに、必要に応じて第三者機関に助言を求めつつ、速やかに院内調査を行い、当該調査結果について第三者機関に報告する。(第三者機関から行政機関へ報告しない。)

○院内調査の実施状況や結果に納得が得られなかった場合など、遺族又は医療機関から調査の申請があったものについて、第三者機関が調査を行う。