はるか昔、湧き出ずる泉がありました。綺麗に澄んだ泉。恵まれた豊かな水源は当たり前のように続いていました。続くと思われていました。でも、ある日、泉は淀んでゆき、やがて闇のように不気味な色になります。

何が起きているのか……確かめることもできないまま時は過ぎ、泉はついに枯れ果ててしまいます。それに合わせるようにして、世界も荒んでゆきました。でも、そこに住む人々は世界がそして自分達が、乾き荒んでいることに気づきません。なぜなら、全てが枯れ果て荒んでいるということが、当たり前になっていたのだから……。

そんな世界では、争いが起こります。争いはどんどん大きくなり、争うことも当たり前になろうとしていました。

全ては乾き荒んでいたのです。

そんな荒野となってしまった世界を旅人が通りかかります。旅人は小さな女の子を連れていました。

喉が渇いていた旅人と女の子は、泉を探しています。やっとのことで辿り着いた場所は、もうずいぶん長いこと満たされていない、枯れ果てた泉。旅人は驚愕し、この世界の不穏な空気を感じ取ります。