通常兵器

兵器の分類方法は色々とありますが、ここでは核兵器とそれ以外の兵器の二つに大別し、後者を通常兵器と呼びます。従って、通常兵器は、爆弾や銃砲等の火薬兵器、毒ガス等の化学兵器、細菌やウイルス等の生物兵器、高エネルギーレーザー等の光学兵器、音響兵器等の兵器を含みます。

①核兵器のない世界

核兵器の廃絶はまだ実現していません。そもそも、いつかは廃絶されるものと期待できるものかどうかわかりませんし、そうこうするうちに、人類は核兵器戦争により滅亡するかもしれません。然るに、一器も残さず核兵器が廃絶され、世界から消滅したと仮定してみます。

果たしてそれで一件落着となり平和と幸福な世界が実現するものでしょうか? そうはなりません。

なぜなら、核兵器がなくなったということは、持てる核兵器をドンパチやり合えば、数日という短い時間に人類が滅亡する心配は一応なくなったというだけのことで、即平和と幸福に貢献するものではないからです。

すなわち、核兵器が消滅しても世界に存在する争いが消滅するわけではなく、核兵器消滅前のままの変わらない状態で残ります。戦闘になった際、核兵器あるなしの違いは、核兵器プラス通常兵器による闘いが通常兵器のみによる闘いに変わるという違いでしかありません。通常兵器は残っているのです。

通常兵器の存在により人間界が不幸であることに変わりはなく、通常兵器のみであっても、宇宙船地球号の中が二つに分かれて徹底した全面戦争になるようなことになれば、過去の戦争とは違い発達した強力な兵器の使用による戦争は、構築した人類の文明を滅ぼし、さらに人類の滅亡に迄つながる恐れもないではありません。

留意すべきは、核兵器が消滅しても、元核兵器保有国は通常兵器でも概ね相変わらず軍事強国であることに違いはないという点です。